第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-05] 口腔扁平上皮癌の浸潤様式分類に関するPTK7の免疫組織化学的検討

〇木村 裕二郎1、長田 麻美1、諸井 明徳1、吉澤 邦夫1、上木 耕一郎1 (1.山梨大学 医学部 付属病院 歯科口腔外科)


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[緒言] 触媒機能に欠陥のある受容体タンパク質チロシンキナーゼ(RPTK)であるTyrosine-protein kinase-like 7(PTK7)は、大腸がん、食道癌など様々な癌の腫瘍形成に関与している。本研究では、口腔扁平上皮癌におけるPTK7の発現を調べ、臨床病理学的因子との関連を検討した。[対象・方法]2013年1月から2020年1月までに当院で切除した一次症例の口腔扁平上皮癌患者80例を用いて、免疫組織化学的手法にて、PTK7染色性(陽性細胞率と染色強度を組み合わせた評価法の結果)と臨床病理学的特徴を比較した。また、組織学的診断の客観性をより高める手法として、腫瘍組織最深部に位置する浸潤先端部から連続で1辺150μmの正方形で囲まれる領域A:先端部、B:中間部、C:内部、でPTK7免疫染色の陽性細胞率を計測し、評価に加えて検討した。[結果]PTK7の染色性とmode of invasion、分化度、リンパ節転移と有意な相関が認められた。また、単変量解析において、領域Bの陽性細胞率増加と予後は相関があり、有意に不良(P< 0.01)であった。生存期間に対する多変量解析(Cox比例ハザード回帰)においても、TNM分類におけるN、頸部後発転移、領域Bの陽性細胞率増加と予後が、有意に不良(P< 0.01)であった。[結語]本研究の結果から、PTK7の染色性増加は浸潤様式と相関があり、口腔扁平上皮癌における浸潤および転移の負の予後因子であることが示唆された。