第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-07] 口腔癌における骨髄由来抑制系細胞および形質細胞様樹状細胞に関する臨床病理学的研究

〇纐纈 衆1、高橋 哲1、熊本 裕行2 (1.東北大学 歯学研究科 顎顔面・口腔外科学分野、2.東北大学 歯学研究科 口腔病理学部分野)


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【緒言】骨髄由来抑制系細胞(MDSC; Myeloid-derived suppressor cells)および形質細胞様樹状細胞(pDC; Plasmacytoid dendritic cells)は,制御性T 細胞と並んで癌患者の免疫抑制状態に重要な役割を演じている細胞であり,癌ワクチンなどの免疫療法の妨げとなっている細胞として近年注目されている.今回,われわれは口腔癌におけるMDSCおよびpDCのバイオマーカーであるCD11b,CD33およびCD303,IDO-1の発現について免疫組織学的に検討をした.【対象・方法】2012 年から2015 年までの間に東北大学病院歯科顎口腔外科にて病理診断および外科的治療を目的に口腔内組織を切除され扁平上皮癌と診断された計35例のパラフィン包埋標本について, CD11b,CD33,CD303,IDO-1の各抗体について免疫組織学的検討を行った.また各症例の年齢・性別・部位・病期・予後などの臨床的特徴および分化度・深達度・浸潤様式・間質反応などの病理組織学的特徴との関連を評価した.【結果】CD11bおよびCD33 は腫瘍細胞およびリンパ球周囲の間質に発現を示し, 35 例中例6 例が陰性,9 例が弱陽性,16 例が中等度陽性,4 例が強陽性であった.またCD303・IDO-1は腫瘍細胞や形質細胞様細胞の間質に発現を示し, 35 例中例8 例が陰性,4 例が弱陽性,15 例が中等度陽性,8 例が強陽性であった.各抗体陽性群は有意にStageIV 症例が多い傾向にあり,また病理組織学的に文化度が低い症例,YK-4 症例が多い傾向にあった.【結語】免疫組織学的結果から,口腔癌の進展にMDSCおよびpDCの免疫応答抑制が関与している可能性が示唆された.