第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-08] Mast cell chymaseはMIA gene familを介した脈管新生を促進する

栗原 都2、〇笹平 智則1、桐田 忠昭2 (1.奈良県立医科大学 分子病理学講座、2.奈良県立医科大学 口腔外科学講座)


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Mast cell chymaseを発現する肥満細胞 (MCTC) は腫瘍において種々の働きを示す。我々はこれまでにMIA gene familyであるMIA、MIA2、TANGOが腫瘍促進性に作用することを報告してきた。本研究ではMIA gene familyとMCTC関連について検討した。93例の口腔癌症例を用いた免疫組織化学において, MCTC densityは腫瘍の進展、リンパ節転移、微小血管数、微小リンパ管数と有意に相関していた。またMCTC densityはMIAとMIA2の遺伝子発現レベルと正の相関を示した。口腔癌細胞株を用いた検討では, 細胞外からMast cell chymaseを作用することでMIA、MIA2、VEGF-A、VEGF-C、VEGF-Dの分泌レベルが上昇した。さらにMast cell chymaseにより血管・リンパ管新生能が促進されたが、MIAないしMIA2のノックダウン処理によりそれらの能力は抑制された。本研究の結果より、口腔癌においてMCTCはMIA、MIA2の活性化と分泌を促し、VEGF familyの活性化を誘導することで血管新生、リンパ管新生に関与することが明らかとなった。MCTCとMIA gene familyを標的とした新たな分子診断、治療の可能性が期待される。