第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-09] 口腔粘膜の発癌過程におけるラミニン332発現の病理学的意義

〇阿部 史佳1、河野 憲司1、河野 辰行1、川村 和弘1 (1.大分大学 医学部 歯科口腔外科学講座)


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口腔扁平上皮癌細胞はラミニン332(旧名ラミニン5、LN)を産生し、オートクライン作用により自らの増殖進展を促す。われわれはこれまでにLNが口腔扁平上皮癌の細胞間接着を解除し細胞分散を亢進すること(Exp Cell Res 262, 2001)、LN発現様式が所属リンパ節転移の予測因子になること(Head Neck 28, 2006)を報告した。今回、口腔発癌過程におけるLN発現を検索したので報告する。【対象・方法】舌・口腔底原発の扁平上皮癌21例、上皮内癌7例の手術材料のホルマリン固定パラフィン切片に対して抗LN抗体による免疫染色を施し、標本内の軽度上皮性異形成23部位、中等度異形成10部位、高度異形成/上皮内癌13部位、初期扁平上皮癌25部位についてLN発現の局在を検索した。【結果】異型上皮周囲の健常粘膜上皮では基底膜に一致してLN発現を認めた。軽度異形成~中等度異形成では33部位中8部位で上皮基底層にLN陽性細胞が散在性に出現した。高度異形成/上皮内癌ではほぼ全例でLNの基底膜発現が増強していた。上皮内癌ではLN陽性細胞が増加し、基底層に集簇を形成していた。扁平上皮癌では多くの症例で胞巣辺縁に連続性にLN陽性細胞が分布し、胞巣周囲の基底膜様陽性像は減弱傾向を示した。【結語】口腔粘膜の上皮性異形成における上皮細胞のLN過剰産生は悪性転化に伴う現象であり、LN陽性細胞の出現は口腔粘膜上皮の癌化の組織学的指標となるものと考えた。