第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-11] 診断に苦慮した下顎前歯部に生じた紡錘細胞癌の1例

〇新田 哲也1、嶋 香織2、平原 成浩1、西 慶太郎1,3、田畑 博章1,3、仙波 伊知郎2 (1.鹿児島市立病院歯科口腔外科、2.鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻腫瘍学講座口腔病理解析学分野、3.鹿児島大学大学院医歯学総合研究科先進治療科学専攻顎顔面機能再建学講座顎顔面疾患制御学)


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緒言:紡錘細胞癌は、多様な紡錘形細胞の肉腫様増殖と明らかな扁平上皮の形態を持ち合わせている扁平上皮癌の稀な1亜型である。本腫瘍では扁平上皮癌成分は目立たないことが多く、確定診断には苦慮することもある。今回われわれは初回の小組織切除の病理組織検査では類腱線維腫を疑われたが、再発後の切除病理組織検査で紡錘細胞癌と診断され、当科へ紹介された症例を経験したのでその概要を報告する。

症例:患者は79歳の女性で、下顎骨腫瘍切除後の精査を主訴に紹介来院した。現病歴では当科初診の4~5年ほど前に下顎前歯部の腫瘤をかかりつけ歯科で2回ほど切除されたが弾性硬腫瘤形成を認めたため、口腔外科専門医の歯科医院を1年前に受診し、生検後に抜歯と共に摘出術を施行され病理組織診断:類腱線維腫の疑いにて経過観察されていた。摘出術から1年後に同部に再発を認めたため再切除され病理組織診断:紡錘細胞癌が判明し精査加療目的に当科へ紹介された。当科初診時の精査で再発・転移などの異常は検出されなかったが、経過観察中に同部の骨吸収像を認め始め、再々切除後から1年後に紡錘細胞癌再発と診断し下顎骨辺縁切除術施行、顎義歯を装着し2年あまり経過して再発・転移所見は認めていない。
結語:診断に苦慮しながら、開業口腔外科医、口腔病理医、コンサルタントの病理医、そして病院口腔外科医間の連携で診断・治療を進めることができた。