第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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5.悪性腫瘍・病理

[P05-15] 舌に発生した高分化型脂肪肉腫の1例

〇栗本 聖之1、薄木 崇介1、森友 梨奈1、吉岡 秀郎1 (1.独立行政法人労働者健康安全機構 大阪労災病院 歯科口腔外科)


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【緒言】脂肪肉腫は成人に発生する軟部肉腫の中で最も頻度の高い腫瘍であり高分化型、粘液型、多形型、脱分化型の4つの亜型に分類されている。中でも高分化型脂肪肉腫は最も頻度の高い亜型であるが、口腔内に発生したものの報告は非常に稀である。今回我々は舌に発生した脂肪肉腫を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
【症例の概要】患者は79歳女性、以前から右側舌縁部の腫瘤を自覚していたが、最近芸能人の舌癌罹患のTV報道を見て不安となり当科受診となった。右側舌縁部に35mm大の弾性軟腫瘤を認め、腫瘤基部では軽度の硬結を触知した。舌の運動障害は認められず、発語・嚥下機能に異常は認めなかった。造影CTでは右側舌に低CT値を呈する造影性に乏しい領域を認めたが、周囲歯牙金属によるアーティファクトにより舌との境界は不鮮明であった。穿刺吸引細胞診にて脂肪細胞と線維芽細胞を認めたが、悪性所見は認めなかった。舌脂肪腫の臨床診断の下、全身麻酔下で舌腫瘍摘出術を施行した。手術創は一次閉鎖した。術後、発音および咀嚼・嚥下機能への障害は認めなかった。術後の病理組織検査では幼弱な脂肪細胞からなる腫瘍で一部に出血、壊死、軟骨化生を伴っており、高分化型脂肪肉腫と診断した。術後に悪性腫瘍であったことを鑑みPET-CTを撮影したが原発巣周囲および全身に異常集積は認めなかった。その後は経過観察し、術後1年6カ月を経過するが再発・転移所見は認めていない。