[P05-22] 口腔扁平上皮癌遠隔転移症例の臨床病理学的検討
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【緒言】当科では術中迅速診断精度向上による原発巣切除の腫瘍近接の減少と術前頸部リンパ節転移の診断精度向上に取り組むことにより再発率、後発転移率を減少させて口腔扁平上皮癌の治療成績向上を図ってきた。しかし、術後に遠隔転移症例を認める症例では予後は不良であることから、どのような症例が遠隔転移を起こしているのかを明らかにすることを目的に臨床病理学的検討を行ったので報告する。
【対象及び方法】2006年10月から2019年10月まで当科で根治的手術を行った口腔扁平上皮癌252例を対象とした。
【結果】原発再発は12例(4.8%)、後発頸部リンパ節転移を含む頸部再発は37例(14.7%)で、遠隔転移は11例(4.3%)に認めた。遠隔転移症例11例の内訳は原発部位別では舌8例、下顎3例であった。術前診断はUICC第8版分類でT分類はT1:3例、T2:4例、T3:3例、T4:1例で、N分類はN0:6例、N1:1例、N2b:2例、N3b:2例であった。治療経過は原発再発あり1例、後発頸部リンパ節を含む頸部リンパ節再発あり5例、口腔内多発癌再発あり1例、遠隔転移のみ4例であった。YK分類はYK-3、4c、4dがそれぞれ6例、3例、2例で、脈管浸潤は血管6例、リンパ管2例であった。
【考察】当科における遠隔転移症例は原発再発が少なく、後発転移リンパ節を含む頸部リンパ節転移再発症例が多かったことから頸部リンパ節転移の診断精度向上と制御が遠隔転移を減少させる可能性があることが示唆された。