第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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6.悪性腫瘍・緩和ケア・リハビリ

[P06-03] 頬粘膜癌の皮膚浸潤に対して褥瘡対策チームと連携して処置を行った一例

〇中西 義崇1、櫻井 伸一1、齋藤 由香2、栗田 浩3 (1.浅間南麓こもろ医療センター 歯科口腔外科、2.浅間南麓こもろ医療センター 看護部、3.信州大学医学部 歯科口腔外科学教室)


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口腔悪性腫瘍の終末期では、腫瘍の増大により口腔外へ浸潤し、患者のQOL低下や腫瘍の壊死組織や臭気の対処に難渋することがある。今回我々は顔面皮膚に広範囲に浸潤した頬粘膜癌患者に対し、褥瘡対策チームとの連携により患者の希望に沿いながら皮膚浸潤部の処置を行った一例を報告する。

症例は76歳女性。左頬粘膜の腫瘤の精査加療目的に、かかりつけ歯科医院より紹介され受診した。左頬粘膜癌、頸部リンパ節転移(T4aN2bM0)の診断で、手術による治療を拒否され他院へ紹介となったが、初診より約2か月後に当科での丸山ワクチン接種を希望され再受診、患者の希望に沿い当科でのフォローを開始した。ワクチン接種から3週後に左頬部皮膚より浸出液が流出し始め、接種から2か月後に食事や移動に困難が生じたため入院となった。
入院後にスタッフから褥瘡対策チーム介入による皮膚浸潤部処置の提案がされ、同チームとの連携により腫瘍の浸出液と臭気改善のため微温湯洗浄やヨウ素軟膏の使用などを開始した。浸出液や臭気はかなり軽減されていたが、患者から味覚障害の訴えがあり、同軟膏の使用を拒否され、他剤への変更を余儀なくされたため、再度褥瘡対策チームと検討し、亜鉛華デンプンを散布して使用した。ワクチン開始から4か月後に腫瘍増大のため死亡されたが、褥瘡対策チームとの連携により患者の希望に沿いながら皮膚浸潤に対し適切な対応をすることが可能であった。