第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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6.悪性腫瘍・緩和ケア・リハビリ

[P06-06] 下顎歯肉癌切除再建後に長期におよぶリハビリテーションを行った1例

〇長汐 沙千穂1、橋詰 正夫2、栗田 浩2 (1.JA長野厚生連 鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 鹿教湯病院、2.信州大学 医学部 歯科口腔外科学教室)


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進行口腔がんでは切除再建手術後に摂食・嚥下や構音に関する障害を後遺することが多い。術前後を通してリハビリテーション(以下リハビリ)が行われるが諸事情により、構音や摂食機能の変化に応じたリハビリが行われず機能回復が進まない症例もある。
今回われわれは、下顎歯肉がん術後に専門職による長期リハビリを行い機能回復が得られた症例を経験した。
患者は78歳女性、既往歴として間質性肺炎,骨粗鬆症等があった。2019年2月に某大学病院にて左側下顎歯肉扁平上皮癌(pT3M0N0 StageⅢ)に対し、左側選択的頚部郭清術,下顎骨区域切除術(左下犬歯~第二大臼歯遠心),再建用プレート,D-P皮弁による再建術,を受けた。術後、全身状態悪化や皮弁の一部壊死、創部し開を生じ、5月に瘻孔閉鎖術を行った。術後の機能回復は不良で、リハビリ目的に当院に転院した。義歯は装着されていたが田口法による会話明瞭度は2,全粥およびソフト食を自力摂取可能であったが多量の食べこぼしを認めた。入院後に会話明瞭度,口唇閉鎖機能,摂食機能の改善等を目標に外舌筋ストレッチ、舌尖分離運動、口唇マッサージ,運動、口唇への感覚入力などと口腔周囲筋の機能に応じた義歯調整を行った。またPT,OTによる筋力トレーニング等で全身機能の改善もはかった。1年5ヶ月間にわたるリハビリにより現在は会話が明瞭となり、米飯および刻み食をこぼさず摂取可能となった。