第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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7.周術期管理・検診

[P07-02] 当科における放射線性顎骨壊死に対する治療経過の検討

〇林田 咲1、原田 沙織1、坂元 裕1、大森 景介1、大鶴 光信1、柳本 惣市1、梅田 正博1 (1.長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 口腔腫瘍治療学分野)


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【緒言】
放射線性顎骨壊死は難治性で頭頚部癌に対する放射線治療後の晩期有害事象として知られている。照射部位の顎骨だけでなく軟組織損傷も強く,初回での手術選択は躊躇されてきた。今回,放射線性顎骨壊死の治療と経過を検討したので報告する。
【対象・方法】
2011年1月1日から2020年9月30日に長崎大学口腔腫瘍治療学分野に受診した放射線性顎骨壊死または放射線性骨髄炎の患者19例を診療録より後ろ向きに調査した。
【結果】
16例が総線量60.0Gy以上で化学療法は13例で併用され,発症部は上顎6例,下顎13例であった。初回治療は,手術療法は緊急搬送された1例を含み2例で,17例は保存療法で高圧酸素療法や洗浄,抗菌薬投与であった。そのうち12例は経過中に増悪し手術となっていた。手術法は下顎骨区域切除術5例,辺縁切除術4例,腐骨除去術5例であった。顎骨欠損に対して金属プレート再建2例,軟組織再建が2例施行されていた。最終的な経過は,保存療法は5例すべて症状不変または悪化で治癒はなかった。手術療法は14例中10例に治癒を認めたが,そのうち3例は初回手術では治癒が得られず,後に拡大手術を施行していた。
【考察】
長期の保存療法では常に急性炎症に備える必要があり,持続する慢性炎症によって手術適応時には拡大手術となることも少なくない。今回の結果から初回治療としての手術選択の可能性が示唆された。さらに症例を収集し,QOLの意義を含め検討していきたい。