第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

講演情報

一般演題(eポスター)

PDFポスター » 8.悪性腫瘍・腫瘍免疫

8.悪性腫瘍・腫瘍免疫

[P08-02] 口腔扁平上皮癌による腫瘍随伴マクロファージへの分化機構についての検討

〇甲斐 一希1、森山 雅文1,2、久保田 恵吾3、服部 多市1、川野 真太郎1、中村 誠司1 (1.九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野、2.九州大学大学院歯学研究院 OBT研究センター、3.東京大学医学部附属病院 口腔顎顔面外科・矯正歯科)


ポスターを表示

【緒言】がん組織は自己の増殖・免疫回避のために、「がん微小環境」という環境を構築し、単球を腫瘍随伴マクロファージ(TAM)へと分化・誘導することが報告されているが、その詳細についてはいまだ不明である。そこで本研究では、口腔扁平上皮癌(OSCC)の細胞株から放出される液性因子(培養上清)を用いて、TAMへの分化機構について検討した。

【材料・方法】 ヒトの末梢血単核球からCD14+単球を抽出した。次に、正常上皮とOSCC細胞株(HSC-2, SQUU-A/B)を24時間培養し、上清のみを回収した。この上清とM-CSFを用いて抽出した単球を培養した。その後、培養細胞を回収し、flow cytometryにてTAMのマーカーであるCD163、CD204、CD206の発現を検索した。

【結果】 OSCC細胞株の培養上清を用いた群では、正常上皮の培養上清を用いた群と比較して、CD204とCD206の発現には有意な差は認めなかったが、CD163の発現は亢進していた。次に液性因子の同定のため、今回用いた培養上清に対してサイトカインアレイを行ったところ、OSCC細胞株の培養上清でIL-8、Lipocalin2などの発現が亢進していた。さらに、IL-8、Lipocalin2、M-CSFを添加して単球を培養すると、CD163の発現が増強された。

【考察】今回、OSCC由来の液性因子により単球がTAM様の細胞へと分化することが示唆された。また液性因子であるIL-8やLipocalin2によってTAMへの分化に関与する可能性が示唆された。