第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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8.悪性腫瘍・腫瘍免疫

[P08-04] 炭酸ガス経皮投与による腫瘍免疫抑制の改善効果

〇八谷 奈苗1、長谷川 巧実1、武田 大介1、齊藤 泉2、有本 智美1、筧 康正1、榊原 晶子1、明石 昌也1 (1.神戸大学大学院 医学研究科 外科系講座 口腔外科学分野、2.甲南医療センター 歯科口腔外科)


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【緒言】
近年、腫瘍の治療抵抗性の原因として腫瘍免疫抑制機構が注目されている。腫瘍の化学療法への治療抵抗性や免疫抑制機構は低酸素環境との関連性があることが報告されているが、腫瘍内の低酸素状態を改善するための効果的な治療法はまだ確立されていない。われわれは、過去の研究において扁平上皮癌に炭酸ガスを適用し、局所酸素化の改善が抗腫瘍効果を示すことを明らかにしており、本研究では、扁平上皮癌に対する局所的炭酸ガス投与と化学療法との併用の効果を腫瘍免疫抑制因子に注目し調査した。
【対象・方法】
ヌードマウス背部皮下にヒト口腔扁平上皮癌(HSC-3)を移植し、局所的炭酸ガスおよびシスプラチン投与を行った。週2回、計4回の投与後、腫瘍を採取し、腫瘍免疫抑制因子(PD-L1、PD-L2、Galectin-9)の発現をReal-time PCR法および免疫染色法を用いて評価した。
【結果】
局所的炭酸ガス投与群では、対照群と比較してPD-L1、PD-L2、Galectin-9のmRNAの有意な発現の低下を認めた。また、併用群でも同様の結果を認めた。さらに、免疫染色においても、局所的炭酸ガス投与群と併用群で腫瘍免疫抑制因子の有意な発現低下を認めた。
【結論】
腫瘍を移植したマウスモデルに対して局所的炭酸ガス投与を行うことで腫瘍免疫抑制因子の低下が確認された。局所的炭酸ガス投与は腫瘍内の低酸素環境を改善し、化学療法との併用でも腫瘍免疫抑制機構を改善する可能性が示唆された。