第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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8.悪性腫瘍・腫瘍免疫

[P08-06] 口腔扁平上皮癌におけるprogrammed cell death 1シグナル関連分子の発現と機能に関する研究

〇丸瀬 靖之1、川野 真太郎1、神野 哲平2、松原 良太1、金子 直樹1、坂本 泰基1、橋口 有真1、田中 翔一1、服部 多市1、濱田 栄樹1、白石 由梨香1、樋渡 萌美1、大部 一成1、中村 誠司1 (1.九州大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野、2.九州大学病院 口腔総合診療科)


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【緒言】癌の宿主免疫監視からの逃避機構の1つとして,癌細胞膜上のprogrammed cell death ligand 1(PD-L1)が,T細胞上に発現するPD-1を介し,免疫応答を抑制することが知られている。しかし、PD-1からPD-L1への逆のシグナルが癌細胞に与える影響については不明である。そこで今回、口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるPD-L1/PD-1発現を検索するとともに,PD-1がOSCC細胞へ与える影響について検討を行った。【材料・方法】OSCC患者97例の生検組織を用い,PD-L1/PD-1発現を免疫組織化学的に検索した。その発現様式から症例を3群(PD-L1/PD-1がともに陽性:A群,いずれかが陽性:B群,ともに陰性:C群)に分け,臨床病理学的所見との関連について検討した。その際,活性化T細胞マーカーとしてCD25を用いた。次に,OSCC細胞株におけるPD-L1の発現をreal-time PCR法にて検索し,培養上清へのrecombinant human PD-1 protein(rhPD-1)添加が,OSCC細胞株の増殖,浸潤・遊走能に与える影響について検討を行った。【結果】全症例中A群が43例,B群が36例,C群が18例であった。A群はC群と比較して,浸潤先端部におけるCD25陽性リンパ球数の有意な低下を認め,頸部リンパ節転移と遠隔転移の発生頻度が高く,生存率が低かった。OSCC細胞株におけるPD-L1発現は高転移株で高かった。また,PD-L1の発現を認めた細胞では,rhPD-1添加により細胞増殖率,遊走細胞数および浸潤細胞率が増加した。【考察】PD-L1/PD-1経路は,免疫監視機構からの逃避のみならず,OSCC細胞の増殖,浸潤能および遊走能を亢進させ,癌の進展に寄与すると考えられた。