第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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9.悪性腫瘍・ゲノム

[P09-02] 口腔癌に対するがんゲノム解析と臨床的有用性

〇野地 理夏1,2、加納 嘉人2,3、山下 大和1、工藤 亮1、平井 秀明2、富岡 寛文2、島本 裕彰2、道 泰之2、三浦 雅彦4、吉村 亮一5、朝蔭 孝宏6、みやけ 智3、池田 貞勝1、原田 浩之2 (1.東京医科歯科大学医学部付属病院 がん先端治療部 がんゲノム診療科、2.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎口腔外科分野、3.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 臨床腫瘍学分野、4.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔放射線腫瘍学分野、5.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 腫瘍放射線治療学分野、6.東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 頭頸部外科学分野)


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【背景】2019年本邦においてがん遺伝子パネル検査が保険収載され、がんゲノム医療が実装化されている。しかし, 口腔癌におけるがんゲノム解析ならびに臨床的有用性に関する報告は少ない。【目的】本学における口腔癌患者のがんゲノム解析結果について報告する。【方法】2018年7月から2020年8月までに標準治療終了もしくは終了見込みとなった再発口腔癌患者15例に対し、がん遺伝子パネル検査を施行し遺伝子変異の解析を行った。【結果】全症例中、組織検体は14例、血液検体は1例であった。男性9例、女性6例、年齢は44-77歳(中央値59歳)であった。組織型は全例扁平上皮癌であり、亜部位は舌が9例(60%)と最も多かった。変異遺伝子はTP53やTERT promoterなどが多く検出され、遺伝性腫瘍を疑う症例はなかった。全症例で治療薬の候補がある変異を1個以上認めたが、治験候補があった症例は7例(47%)であった。実際にゲノム解析に基づいて治療を行った症例は3例(21%)であり、いずれもTumor Mutational Burden(TMB)高値の症例であった。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の臨床効果はPR2例(66%)、SD1例(33%)であった。一方でPDL1-CPS測定症例6例のうち、全症例で陽性(CPS≧1)であり、ICI投与により3例(50%)において病勢制御が得られた。【考察】再発口腔癌患者に対する同検査の有用性が示唆される一方、今後治療へ結びつく出口戦略の充実ならびにICIに対するバイオマーカーの確立が課題である。