第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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9.悪性腫瘍・ゲノム

[P09-05] 口腔扁平上皮癌におけるEGFRのMOB1リン酸化を介したYAP/TAZ活性化機構

〇安藤 俊範1 (1.広島大学病院 口腔検査センター)


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【背景】Hippo経路(MST1/2、LATS1/2キナーゼおよびアダプター蛋白MOB1、SAV1)とその下流因子YAP/TAZは、癌細胞の増殖に必須のシグナル経路である。口腔扁平上皮癌(OSCC)ではYAP/TAZは異常に活性化しており、YAP/TAZ活性化を引き起こす遺伝子異常の解明が望まれている。EGFRはOSCCで増幅・過剰発現しているが、YAP/TAZ活性化への寄与は未解明であった。【目的】OSCCでEGFRがYAP/TAZ活性化を導く詳細な機構を明らかにする。【結果】EGFRはMOB1を直接リン酸化してLATS1/2を不活性化しYAP/TAZを活性化した。EGFR阻害薬は、EGFR遺伝子異常を示すOSCC細胞、肺腺癌細胞のYAP/TAZを不活性化して増殖を抑制し、LATS1/2遺伝子をノックアウト(YAP/TAZ活性化)すると耐性を示した。【結論】EGFRはMOB1リン酸化を介しYAP/TAZを活性化した。近年、EGFR阻害薬耐性の症例ではYAPの再活性化が報告されており、EGFR阻害薬がYAPを抑制後、別の経路がYAPを再活性化して耐性獲得に導く機構が推察される。今後、EGFR阻害薬にYAP/TAZ阻害薬を併用して腫瘍の耐性獲得・再発を防ぐ新規治療法開発の可能性が示唆される。本研究はJ Silvio Gutkind(カリフォルニア大学サンディエゴ校)教授の元で行った。