第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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10.悪性腫瘍・バイオマーカー

[P10-03] 唾液CCL20 を用いた口腔扁平上皮癌スクリーニングの有用性

〇上田 整1,2、後藤 満雄1、橋本 健吾1,2,4、長谷川 正午1、大岩 伊知郎3、下郷 和雄1、長尾  徹1 (1.愛知学院大学 顎顔面外科学講座、2.愛知学院大学 外科学講座、3.名古屋第一赤十字病院 歯科口腔外科、4.大垣市民病院 歯科口腔外科)


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背景:口腔扁平上皮癌(OSCC)は, 頭頸部領域で最も発生頻度が高い癌で, 5年生存率は早期癌においては90%程度だが, 進行癌では50%程度と予後不良である. 早期診断のため, 容易に採取できる唾液によるOSCCスクリーニングに着目した.
目的:唾液CCL20 mRNA発現量と口腔細菌層の関係を評価し, 唾液によるOSCCスクリーニングの有用性について検討すること.
方法:OSCC患者48名, 口腔潜在的悪性疾患(OPMD)患者35名, 健常ボランティア(HV)50名を対象とした. リアルタイム定量PCRでCCL20 mRNA発現量を評価した. 唾液の細菌叢を次世代シークエンサーで調べ, OSCCに特異的な細菌を選定し, CCL20 mRNA発現に関連する細菌を特定した. 唾液CCL20 mRNA発現量によるOSCCスクリーニング検査の精度を調べた.
結果:唾液CCL20 mRNA発現量は, OSCC患者>OPMD患者>HVの順に高発現であった. 唾液細菌叢をOSCC群と非OSCC群に分別すると, OSCC群の唾液に最も特徴的な細菌はFusobacterium属であった. OSCC群では, CCL20 mRNA発現量とFusobacterium属占有率は正の相関であった. 唾液CCL20 mRNA発現量でのOSCCスクリーニングは, OMPDとの鑑別は不良であったが, HVとの鑑別は良好であった.
結語:唾液CCL20 mRNA発現量によるOSCCスクリーニングは有用である可能性が示唆された.