第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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10.悪性腫瘍・バイオマーカー

[P10-05] NCAPHは口腔癌のリンパ管新生、抗癌剤耐性に関与する

下村 弘幸2,1、栗原 都1,2、桐田 忠昭2、〇笹平 智則1 (1.奈良県立医科大学 分子病理学講座、2.奈良県立医科大学 口腔外科学講座)


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我々は以前に、同一患者の初発時と再発時の遺伝子発現変化をマイクロアレイにより検討し、その結果、non-SMC condensin I complex subunit H (NCAPH) が再発性の口腔癌において高発現していることを見いだしている。しかしながら癌におけるNCAPHの機能は依然として不明な点が多いままである。本研究において臨床検体を用いたリアルタイムRT-PCRによる遺伝子発現解析をおこなったところ、口腔癌におけるNCAPHの発現レベルは正常粘膜より高かった。142例の口腔癌症例による免疫組織化学により、NCAPHの発現はリンパ管侵襲、リンパ節転移と密接に相関していた。またNCAPHを高発現する症例はそうでない症例と比較して有意に予後不良であり、多変量解析においてNCAPHの発現は独立した予後不良因子であった。In vitroの検討において、NCAPHはシスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチンに対する耐性の獲得に関与していた。さらにNCAPHはリンパ管内皮細胞の増殖ならびにリンパ管内皮細胞と口腔癌細胞との接着を誘導することが明らかとなった。以上よりNCAPHは口腔癌における新たな診断、治療標的となる可能性が期待される。