第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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10.悪性腫瘍・バイオマーカー

[P10-06] SRPX2は口腔癌における新規腫瘍促進因子である

〇笹平 智則1、栗原 都1,2、下村 弘幸2、桐田 忠昭2 (1.奈良県立医科大学 分子病理学講座、2.奈良県立医科大学 口腔外科学講座)


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口腔癌は局所進展性やリンパ節転移能が強く、それらの分子機構を解明することは口腔癌を制御する上できわめて重要である。我々は以前にがん精巣抗原であるLEM domain containing 1 (LEMD1) が口腔癌の進展、リンパ節転移、予後に関連していることを報告した。しかしながらLEMD1に関連したシグナルは不明なままである。本研究において、LEMD1の発現を抑制した口腔癌細胞株を用いてマイクロアレイ解析をおこなったところ、LEMD1のダウンストリームシグナルとしてsushi repeat containing protein X-linked 2 (SRPX2) を同定した。 161例の口腔癌検体を用いた免疫組織化学による検討において、SRPX2を発現している症例は有意に予後不良であった。さらに口腔癌局所におけるSRPX2の濃度をELISAにより測定したところ、LEMD1、uPAR、およびHGFの濃度と正の相関を示した。 In vitroの検討において、口腔癌におけるSRPX2の分泌レベルはuPARおよびHGFとの相互作用によって上昇することを見いだした。また、SRPX2が血管・リンパ管内皮細胞の増殖、ならびに内皮細胞と口腔癌細胞間の接着を促進することも明らかとなった。以上よりSRPX2は口腔癌の新規腫瘍マーカーであり、LEMD1-SRPX2シグナルは口腔癌の診断、治療標的となり得る可能性が示唆される。