第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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11.良性腫瘍

[P11-01] 長期経過をたどった巨大な分葉状甲状舌管囊胞の1例

〇矢島 淳一1、飯島 響1、山田 慎一2、栗田 浩2 (1.JA長野厚生連北アルプス医療センターあづみ病院 口腔外科、2.信州大学医学部附属病院 歯科口腔外科学教室)


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【緒言】甲状舌管囊胞は,甲状舌管の遺残に由来し,胎生期の甲状腺狭部から舌盲孔との間の部位に発生しうる疾患である.本疾患は一般的に単房性で球状または楕円形を呈する.今回われわれは,長期経過をたどった巨大な分葉状甲状舌管囊胞の1例を経験したので,その概要を報告する.【症例】52歳.女性.30年前より正中頚部の腫脹を自覚.症状がみられなかったため,精査は行わず経過観察としていたが,2019年7月より増大傾向を呈したため,精査加療目的に当科受診した.正中頚部皮下に弾性軟膨隆が認められた.明らかな炎症反応はなく,圧痛などの症状は認められなかった.CTおよびMRIにて舌骨から舌骨下レベルにおよぶ分葉状を呈する長径約40mm大の嚢胞性病変が認められた.【処置および経過】甲状舌管囊胞の診断のもと,2020年8月全身麻酔下に摘出術を施行.最終長径53mm大.囊胞と周囲組織との剥離は容易であり,囊胞と舌骨との癒着や舌根部に至る索状瘢痕,舌盲孔は認められなかった.病理組織学的所見にて囊胞内壁は線毛上皮で裏層され,一部化生扁平上皮が認められた.囊胞内腔にコレステリン結晶,嚢胞壁に迷入した甲状腺組織および導管構造が認められ,甲状舌管囊胞と診断された.術後再発なく経過良好である.