The 39th Annual Meeting of Japanese Society of Oral Oncology

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一般演題(eポスター)

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11.良性腫瘍

[P11-03] a case of cystadenoma of the retromolar area

〇Hirotaka . Kato1, Hiromi Nakai1, Akihiro Miyazaki1, Junya Okamoto1, Kei Tsuchihashi1 (1.Department of Oral Surgery Sapporo Medical University School of Medicine)


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【緒言】

嚢胞腺腫は単房性または多房性の嚢胞形成を特徴とするまれな唾液腺腫瘍である.主に口唇や頬粘膜に発生するが,臼後部に生じるものは極めてまれである.今回我々は臼後部に生じた嚢胞腺腫の1例を経験したので報告する.

【症例と経過】

患者は80歳代男性.2017年12月中旬より左臼後部に義歯装着時の咬合痛を自覚し,徐々に増悪してきたため,近医歯科医院を受診した.腫瘍性病変を疑い,精査・加療目的に当科紹介初診となった.口腔内所見で,左臼後部に弾性軟の腫瘤を認めた.腫瘤の大きさは15×18mm大,被覆粘膜は平滑で青紫色を呈し,境界は明瞭であった.CT所見で明らかな骨破壊像を認めなかった.MR所見で左臼後粘膜下に直径15mm大の境界明瞭な腫瘤を認めた.腫瘤は造影T1強調像で周囲に造影効果を伴い境界明瞭であった.以上の臨床所見から唾液腺良性腫瘍の診断のもと,全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.摘出物は直径17mm大,弾性軟で透明感のある不均一な暗紫色を呈していた.病理組織学的所見では正常な腺組織に連続して様々な大きさの嚢胞様構造からなる腫瘤を認め,一部の嚢胞壁が内腔に向かって乳頭状に増生していた.病理組織学的診断は嚢胞腺腫であった.術後2年6か月経過したが,再発所見なく良好に経過している.しかし,本症例では一部に核異型を伴う異型細胞を認め,悪性転化が疑われる部分が認められたことから,長期にわたる厳重な経過観察を継続する予定である.