[EL02-01] 医学研究におけるCOIマネージメント2015
産学連携によって基礎及び臨床研究の発展は大いに期待される。学術的・倫理的責任を果たすことにより得られる成果(診断法、治療法、予防法)は学術機関などを通して公表され、結果的に患者さんへの利益(公的利益)として還元される。一方、産学連携において研究者(医師)個人が取得する金銭・地位・利権など(私的利益)が発生するという側面を避けて通ることは困難である。これらの簡単には整理できない2つの利益が研究者個人の中に生じる状態を利益相反(conflict of interest:COI)と呼び、産学連携を推進すればするほど利益相反状態が生じることを避けることは出来ない(利益相反状態の不可避性)。米国では経済の国際競争力低下を背景として、1980年のバイ・ドール法(改正特許法)の成立により、大学における特許取得とその技術移転を通して米国産業が競争力を取り戻すこととなった。その一方1999年には人命の犠牲を伴うゲルシンガー事件に代表される利益相反にからむ重大な事件が発生し、問題の根深さが広く認識され、サンシャイン法の成立により、その解決を図る動きに発展して来ている。本邦でも市販薬の有効性をめぐる不祥事が相次いでおり、「企業活動と医療機関等の透明性ガイドライン」に基づいた情報公開が始まった。
産業界とアカデミアの健全な関係の中で,基礎医学、臨床医学の発展を推進しなければならないが、臨床研究に携わる研究者のCOIに関するリテラシーには不足している部分がたくさんあると思われる。教育研修体制を整備することによって、継続的な意識改革を求めていく必要があるだろう。
産業界とアカデミアの健全な関係の中で,基礎医学、臨床医学の発展を推進しなければならないが、臨床研究に携わる研究者のCOIに関するリテラシーには不足している部分がたくさんあると思われる。教育研修体制を整備することによって、継続的な意識改革を求めていく必要があるだろう。