第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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教育セミナー

教育セミナー1
心臓カテーテル検査・インターベンションにおける医療訴訟判例

Thu. Jul 16, 2015 4:20 PM - 4:50 PM 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:松裏 裕行 (東邦大学医療センター大森病院 小児科)

EVS01

[EVS01-01] 心臓カテーテル検査・インターベンションにおける医療訴訟判例

桑原 博道 (仁邦法律事務所)

診療科別に見た1年間の医療訴訟件数は,小児10件,内科180件,外科124件であった(地方裁判所既済,平成25年最高裁判所統計)。なお,この統計上,小児心臓血管外科は外科に含まれている。これらを各科に所属する医師の数(平成24年12月31日厚生労働省データ)で除すると,医師1000人当たりで,小児科は0.612,内科は1.667,外科は3.540となる。したがって,外科は内科に比して医療訴訟を受けるリスクが高く,小児科は他科に比して医療訴訟を受けるリスクが低いことが分かる。もっとも,外科のほうが内科よりも上記リスクが高い理由は,外科の方が侵襲的な手技に関係し易いためと推測され,このことは心臓カテーテル検査・インターベンションを扱う医師にも該当するため,こうした医師については,小児科医であっても訴訟を受けるリスクが低いとはいえない。侵襲的な手技に関していえば,訴訟上の争点となり易いのは,①説明義務,②適応,③手技などである。このうち,敗訴するリスクが高いのは,①である。心臓カテーテル検査・インターベンションに関しては,①については,小児のものとしては,平成19年3月22日横浜地裁判決がある。①が敗訴し易いのは,この判決に見られるように,裁判所サイドでは,説明が十分になされているか否かのチェック項目が確立されているが,そのようなチェック項目が医療者側に知られていないためである。②については,小児のものについては,検索しうるものはなかったが,医療訴訟全般において,昨今はガイドランとの関係が問題となっている。ガイドラインの扱いに関しては,多くの判決を通じて,裁判所サイドにおける考え方が確立しつつある。③については,小児のものとしては,平成15年1月30日東京地裁判決,平成2年3月10日東京地裁判決があるので注意が必要である。