[I-O-02] 18 trisomy児の先天性心疾患における動脈管の臨床的特徴と治療戦略
キーワード:18 trisomy, 動脈管, 治療戦略
【背景と目的】近年、18 trisomy(18 T)の合併先天性心疾患(CHD)に対し、外科手術を含む積極的治療介入の報告が増加している。18 TではPDAや動脈管依存性CHDも多く、循環管理上動脈管の制御は重要であるが、詳細な報告は少ない。18 Tにおける動脈管の臨床的特徴について検討した。【対象と方法】2006年3月から2014年4月に当院NICUに入院した18 T児19例について、動脈管の経過を診療録から後方視的に検討した。【結果】男10例、女9例。在胎週数30~41週(中央値36週)。出生体重590g~3208g(中央値1690g)。19例全てがCHDを合併し、動脈管非依存性CHD(VSD+ ASD / PFO):13例、動脈管依存性CHD:6例(AS/CoA 5例、PS 1例)であった。初回心エコー検査で全例に動脈管の開存を認めた。動脈管の作用薬として、低形成大動脈弓を伴うASの1例にPGE1を使用したが、インドメタシンの使用例はなかった。動脈管の自然閉鎖は、PGE1を使用した1例を除く18例中4例(22%)にみられ、全て動脈管非依存性CHDであり、各々の在胎週数/閉鎖日齢は36/57、37/65、38/4、39/14であった。日齢7までに死亡した5例中、動脈管依存性CHDは3例あったが、動脈管閉鎖による死亡はなかった。ASD+VSD+PDA 2例に手術(心内修復術1例、肺動脈絞扼術1例)を施行し、動脈管を結紮した。【考察と結論】18Tの動脈管は新生児期には自然閉鎖しない例も多く、特有の病理組織学的性質が示唆された。PGE1は強力な肺血管拡張作用により循環動態に影響するため、18 Tでは動脈管依存性CHDであっても投与しない選択を含め十分な検討が必要である。