[I-O-04] 心室中隔欠損閉鎖術を施行した18トリソミー児の検討
Keywords:18 trisomy, VSD, lung biopsy
【背景】高肺血流性心疾患を有する18トリソミー児では閉塞性肺血管病変が進行しやすいことが知られており、当院では家族への情報提供の後に治療を希望された児に対して、生後1ヶ月前後で肺動脈絞扼術(PAB)を施行している。また同時に肺生検を行い、根治術施行の際に参考にしている。【対象】2009~2014年に心臓手術を行った21例のうち、根治術を施行した5例について後方視的に検討した。【結果】全例女児で、一期的根治術1例、PAB後4例。根治術時の年齢・体重は中央値1歳2ヶ月(0歳2ヶ月-1歳9ヶ月)・4.80kg(2.89-6.91kg)。根治術時の合併症は、横隔膜ヘルニア術後1例、気管切開後1例。肺生検はPAB施行した4例で施行、うち3例は根治術前に再検し、いずれも所見は改善していた。術後3例で高度房室ブロックとなり、1例でペースメーカー埋め込みを行った。周術期死亡は1例(横隔膜ヘルニア合併例)、遠隔期死亡は1例(術後11ヶ月で痙攣重積発作による)。3例は術後6年10ヶ月、3年3ヶ月、1年6ヶ月経過し元気に過ごしているが、うち1例は家庭の事情で施設に入所している。【考察】高肺血流性心疾患を有する18トリソミー児に手術介入することで、心疾患に起因する死亡は減少させる可能性については、これまで報告されてきた。とりわけ根治術はチアノーゼが消失し血行動態が改善されることで、児の全身状態にとって有益であることは間違いない。しかし18トリソミー児では感染症や痙攣、無呼吸発作などで突然死をする症例が多く、根治術が必ずしも予後を改善するわけではないことも事実である。根治術はPABと比較するとリスクはかなり高くなるため、家族と十分な話し合いを行った上で治療方針を決定する必要がある。