第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-02 染色体異常・遺伝子異常

一般口演-1
染色体異常・遺伝子異常

Thu. Jul 16, 2015 9:00 AM - 9:50 AM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
澤田 博文 (三重大学)
渡部 誠一 (土浦総合病院)

I-O-01~I-O-05

[I-O-05] 18トリソミー児において根治術により良好な肺循環が獲得され予後が改善される

岸 勘太1, 小田中 豊1, 尾崎 智康1, 片山 博視1, 玉井 浩1, 根本 慎太郎2, 峰 研治3, 内山 敬達3, 吉村 健3 (1.大阪医科大学附属病院 小児科, 2.大阪医科大学附属病院 小児心臓血管外科, 3.関西医科大学附属枚方病院 小児科)

Keywords:18トリソミー, 肺高血圧, 根治術

【背景】近年、18トリソミー(T18)に合併する先天性心疾患に対して外科的治療を選択する施設が増えつつあるが、根治術に至った症例における、肺循環の動向は知られていない。【目的】根治術に至ったT18児の肺循環の動向を調査する。【方法】2008年4月から2014年11月までに当院で心臓手術介入を行ったT18児における肺循環を後方視的に調査した。肺動脈圧の評価は観血的モニタリングで測定した圧、もしくは心エコー検査にて推定した圧を用い肺動脈収縮期圧と収縮期体血圧の比(Pp/Ps)を算出し評価した。【結果】期間中11例(診断は全例VSD)に対して21回の心手術介入を行った。全例で肺動脈絞扼術(PAB)を先行して施行。11例中2例がPAB後に死亡、9例が根治術(ICR)に到達した。9例は全例生存しており(生存率81%)、生存期間は中央値26か月(14-66か月)。根治術後遠隔期に、2例で肺血管拡張薬を投与。そのうち1例で軽度の肺高血圧(PH)が残存。その他は、PHを認めなかった。2例で人工呼吸器からの離脱が可能であった。全例HOTを施行している。術後遠隔期に肺血管拡張薬を投与している2例は、術前の肺血管抵抗が高値であった症例と、PAB後にPp/Psの上昇を認めた症例であった。PABは生後3か月(日齢12-4か月)で施行され、根治術は生後12か月(5か月-19か月)で施行。PAB前から根治術までのPp/Psは、pre-PAB:0.81+/-0.22、post-PAB:0.48+/-0.09、pre-ICR:0.33+/-0.23、post-ICR:0.32+/-0.05で、PAB後は中等度のPHが残存していたが、根治術前にはPp/Psの改善を認め、根治術後も平均で0.4以下を維持できていた。【結語】遅くとも生後4か月までにPABを行い、Pp/Psを0.6以下で調整し、2期的に根治術を行うことで比較的良好な肺循環を獲得でき、予後が改善される可能性が示唆された。