第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-18 川崎病・冠動脈・血管

一般口演-3
川崎病・冠動脈・血管

Thu. Jul 16, 2015 2:50 PM - 3:40 PM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
中村 常之 (金沢医科大学)
野村 裕一 (鹿児島市立病院)

I-O-11~I-O-15

[I-O-11] 川崎病後遠隔期症例におけるMDCTによる冠動脈壁イメージングと臨床経過-冠イベント高リスク群の層別化とmultimodalityな評価の試み-

大橋 啓之1, 三谷 義英1, 大槻 祥一朗1, 淀谷 典子1, 澤田 博文1, 早川 豪俊1, 北川 覚也2, 佐久間 肇2, 駒田 義弘2 (1.三重大学大学院医学系研究科 小児科学分野, 2.三重大学大学院医学系研究科 放射線医学教室)

Keywords:川崎病, 画像診断, OCT

【背景】川崎病後遠隔期において,巨大瘤や重度狭窄を伴う事なく石灰化内膜を認める病変で,急性血栓症を来し得るとされている.近年,低被曝MDCTにより血管内エコーで同定された非石灰化/石灰化内膜が検出可能であるが、川崎病後成人例での臨床的意義は明らかでない.【仮説】川崎病後遠隔期において,MDCTによる冠動脈壁イメージングはリスク層別化に役割を果たす.【目的】1:川崎病後冠動脈病変と,MDCTにて検出した壁病変との関連の検討.2:MDCT後フォローアップ期間中の冠イベントのmultimodalityな検討.【方法】2009年3月から2014年8月に初回MDCTを施行した川崎病罹患後10年以上経過した症例を対象とした.心房細動,腎不全,造影剤アレルギー,重症心不全,重症肥満は除外した.CT機器は,年代により64列CT,320列ADCT,Dual Source CTを使用した.【結果】1:計42症例にCTを施行した.年齢は中央値19.8歳(IQR 18.0-22.0),川崎病後経過年数は中央値17.4歳(IQR 15.2-19.6).CAL例は23例(55%),ゼロカルシウムスコア例は29例(69%)であった.計301区域において検討を行った.病初期より正常であったすべての223区域においてMDCTでも内膜病変は認めなかった.退縮瘤区域の14%(6/42区域)に,内膜病変を認めた.拡大+局所狭窄区域では64%(23/36区域)であった.2:中央値4.4年(IQR 4.2-5.3)経過観察期間中,1例に急性冠症候群(5年後),1例に無症候性心筋梗塞(5年後)を認めた.いずれも石灰化内膜を伴った病変で, OCTにより責任病変を含む冠動脈に壁在微小血栓を認め、心臓MRIで心筋梗塞巣に合致する遅延造影所見を認めた.【結語】川崎病後遠隔期成人例において,MDCTによる冠動脈壁イメージングは冠イベントのリスク層別化に有効性が示唆された.石灰化内膜が検出される高リスク例においては, OCT, MRIも含めたmultimodalityな評価が重要である.