[I-O-21] 心筋症・心筋炎を原疾患とする重症心不全患者に関する検討
Keywords:重症心不全, 集中治療, 補助循環
【はじめに】 筋症・心筋炎後の心不全のため内科的・外科的管理を要する児の治療選択肢は年々変化している。一方で、治療の選択肢である心臓移植国内ドナー患者数は伸びず、重症患者の管理には依然困難を伴う。【目的】 これら治療方法の変遷に伴う重症心不全の患者の生命予後・神経学的予後を検討し今後の検討課題として挙げる。【方法】 対象は2004年1月から2014年12月に心筋症・心筋炎を原疾患として当院ICUに入室した18歳未満の小児症例24名(男:女=1.6:1)。入室契機、ICU在室日数、神経学的後遺症の有無、生存率に関して検討した。【結果】 平均年齢7.9歳(中央値8.5歳、3ヵ月-18歳)。2004年~2010年が5名、2011年~2014年が19名。原因心疾患の内訳は心筋炎6名、拡張型心筋症13名、拘束型心筋症4名、肥大型心筋症1名で、21名が体外補助循環を要し、心筋炎の1例のみが離脱可能であった。心筋症の急性増悪(crush)による入室は3名、内科管理目的入室は4名(後日補助循環装着は2名)、予定での補助循環装着は11名。移植例は国内で4例、渡航2例。平均在室日数は46日(中央値14.5日、2-298日)。存命患者の神経学的後遺症は1例。死亡患者数は心筋炎が4名(心筋炎全体の67%)、心筋症5名(心筋症全体の28%)の計9名。1例のみ血栓による回路閉塞で、8例が脳梗塞・脳出血であった。【考察】 当院では日本国内での小児心臓移植ドナー不足という現況から、可能な限り移植を回避すべく転院前の早い段階から治療戦略にて密に連携し、適切なタイミングで体外補助循環導入を含めた受け入れを行っている。院内においても内科・外科の連携により心筋症急性増悪は10%に抑え、適正に補助循環を使用することで生存率の向上に繋げている。【結論】 心筋症患者の発生頻度から単一施設での治療経験は蓄積しにくく、多施設間で治療における柔軟な連携が求められる。