第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

1-11 心不全・心移植

一般口演-5
心不全

2015年7月16日(木) 09:00 〜 09:50 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
白石 裕比湖 (城西病院)
星合 美奈子 (山梨大学)

I-O-21~I-O-25

[I-O-22] Glenn術前の高尿酸血症は心不全及び死亡率を反映する

浜道 裕二1, 金川 奈央1, 豊川 富子1, 平野 恭悠1, 田中 智彦1, 青木 寿明1, 河津 由紀子1, 稲村 昇1, 萱谷 太1, 盤井 成光2, 川田 博昭2 (1.大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科, 2.大阪府立母子保健総合医療センター 心臓血管外科)

キーワード:尿酸, Glenn, 心不全

【背景】慢性心不全において血清中の尿酸(UA)値は低コストの総合的予後予測マーカーとして報告されている(Circulation, 2003)。Fontan candidate のGlenn前の状態(preGlenn)においては強い心stressに曝されている例が多いが、preGlennにおけるUA値上昇の報告はない。【目的】preGlennにおけるUA値上昇例の臨床像について検討した。【対象と方法】対象は心臓カテーテル検査及びUA測定を同時期に施行したpreGlennの171人。UA値を5分割し、上位1/5(≧6.5mg/dl)をUA高値と定義。同時期に施行したカテーテル検査による指標、血液検査値、利尿剤量とUA高値との関係について検討した。次にUA高値群と非高値群の臨床的特徴を比較した。【結果】多変量解析でUA高値に独立して関与する因子は、Lasix量(内服≧3.4mg/kg/日又は静注Lasix:odds比9.1倍)、Cre値(≧0.30mg/dl:3.9倍)、大動脈酸素飽和度(<74%:3.6倍)、房室弁逆流(≧III/IV度:3.5倍)、BNP値(≧205pg/ml:3.3倍)。単変量解析では他に、主心室の駆出率の低下、収縮末期容積の拡大、拡張末期容積の拡大、拡張末期圧の上昇及び下大静脈圧の上昇が関与した(R-sqaure=0.36)。UA高値群とUA非高値群では、体重SD値及び心胸郭比に有意差はなかった。しかしながら、UA高値群は非高値群にくらべて心不全で入院している例が多く(41% vs. 3%、p<0.0001)、退院後も含めて死亡する例が多かった(20% vs. 1%、p<0.0001)。【まとめ】Fontan candidateのpreGlennにおけるUA高値には、全身状態が良くないことを示す因子が独立して関与していた。単解析においては、個々の心機能因子の低下がそれぞれ関与していた。臨床的差異が乏しいにもかかわらず、UA高値群では心不全、死亡を含めて重症例が多かった。preGlennにおけるUA高値は、状態の悪化を見出し治療のstep upを考える指標になるかも知れない。