[I-O-22] Glenn術前の高尿酸血症は心不全及び死亡率を反映する
キーワード:尿酸, Glenn, 心不全
【背景】慢性心不全において血清中の尿酸(UA)値は低コストの総合的予後予測マーカーとして報告されている(Circulation, 2003)。Fontan candidate のGlenn前の状態(preGlenn)においては強い心stressに曝されている例が多いが、preGlennにおけるUA値上昇の報告はない。【目的】preGlennにおけるUA値上昇例の臨床像について検討した。【対象と方法】対象は心臓カテーテル検査及びUA測定を同時期に施行したpreGlennの171人。UA値を5分割し、上位1/5(≧6.5mg/dl)をUA高値と定義。同時期に施行したカテーテル検査による指標、血液検査値、利尿剤量とUA高値との関係について検討した。次にUA高値群と非高値群の臨床的特徴を比較した。【結果】多変量解析でUA高値に独立して関与する因子は、Lasix量(内服≧3.4mg/kg/日又は静注Lasix:odds比9.1倍)、Cre値(≧0.30mg/dl:3.9倍)、大動脈酸素飽和度(<74%:3.6倍)、房室弁逆流(≧III/IV度:3.5倍)、BNP値(≧205pg/ml:3.3倍)。単変量解析では他に、主心室の駆出率の低下、収縮末期容積の拡大、拡張末期容積の拡大、拡張末期圧の上昇及び下大静脈圧の上昇が関与した(R-sqaure=0.36)。UA高値群とUA非高値群では、体重SD値及び心胸郭比に有意差はなかった。しかしながら、UA高値群は非高値群にくらべて心不全で入院している例が多く(41% vs. 3%、p<0.0001)、退院後も含めて死亡する例が多かった(20% vs. 1%、p<0.0001)。【まとめ】Fontan candidateのpreGlennにおけるUA高値には、全身状態が良くないことを示す因子が独立して関与していた。単解析においては、個々の心機能因子の低下がそれぞれ関与していた。臨床的差異が乏しいにもかかわらず、UA高値群では心不全、死亡を含めて重症例が多かった。preGlennにおけるUA高値は、状態の悪化を見出し治療のstep upを考える指標になるかも知れない。