一般口演-6
成人先天性心疾患

[I-O-26] 右心系容量負荷を有する成人先天性心疾患に合併した心房性不整脈に対する右側MAZEの成績

^○荒木 幹太, 上野 高義, 小澤 秀登, 平 将生, 木戸 高志, 松長 由里子, 金谷 知潤, 倉谷 徹, 戸田 宏一, 澤 芳樹 (大阪大学大学院医学系研究科　心臓血管外科)

Keywords:心房性不整脈, 右心系容量負荷, 右側MAZE

【背景】
右心系の容量負荷を認める成人先天性心疾患(ACHD)では、しばしば心房性不整脈を認め、係る症例では右側MAZEの有用性が報告されている。しかし、その適応に関する詳細な検討は少ない。
我々は、一過性頻脈症例、再手術＋右心系容量負荷症例に対しては右側MAZEを行う基本方針としている。
今回、右心系容量負荷を有するACHDに対する右側MAZEの成績を検討した。
【対象・方法】
対象は2000年-2014年に、当院にて心房性不整脈に対し右側MAZEを併用し手術を行った右心系容量負荷を有する2心室型ACHD症例21例(TF 10例、ASD 4例、AVSD 3例、VSD 2例、PAIVS 1例、TGA 1例)。
手術年齢は43.3±15.9歳。術前の心房性不整脈の内訳は、上室性頻拍(AT) 6例、心房細動(Afib) 9例(Paroxysmal(P) 6例/Chronic(C) 3例)、心房粗動(Aflu) 6例(P 4例/C 2例)であった。
これらの症例に対し、術後の洞調律復帰(SR)率、不整脈再発(RA)率、ペースメーカ植え込み(PMI)率につき、術前状態と比較検討した。
【結果】
右側MAZEを併用した手術での、手術死亡は認めず、手術合併症も認めなかった。全体での術後5.9±3.0年のSR率は76.2%(16/21例)、RA率23.8％(5/21例)であった。また、PMIは術後洞不全症候群を認めた4例に施行した。
RA症例は、術前の不整脈がC-Afib 2例、P-Afib 2例、P-Aflu 1例。CVP mean 17(range 6-23)mmHg。RVEDVI 208.4(167-299)ml/m²。PMI症例は、術前の不整脈がP-Afib 1例、P-Aflu 2例、AT 1例。CVP 14.5(13-17)mmHg。RVEDVI 201.5(143-262)ml/m²。
RA例及びPMI例は、心房負荷（CVP＞15mmHg、又はRA径＞60mm）を認め、手術時に複数の弁への介入を要した症例、もしくは術前のRVEDVIが200ml/m²を超える症例であった。
【まとめ】
ACHDにおける心房性不整脈に対する右側MAZEの有効性は、右心系の拡大と関連する可能性があり、右心拡大の慎重なfollowが必要である。