第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-14 成人先天性心疾患

一般口演-6
成人先天性心疾患

Thu. Jul 16, 2015 10:00 AM - 10:50 AM 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
稲井 慶 (東京女子医科大学心臓病センター)
康井 制洋 (神奈川県立こども医療センター)

I-O-26~I-O-30

[I-O-29] 成人先天性心疾患における心原性脳梗塞

武智 史恵1, 森島 宏子1, 立野 滋1, 川副 泰隆1, 岡嶋 良知1, 丹羽 公一郎1,2 (1.千葉県循環器病センター 小児科, 2.聖路加国際病院 心血管センター)

Keywords:Cardioembolic Stroke, Adult Congenital Heart Disease, prevalence

【背景】成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease;ACHD)の管理において,心原性脳梗塞(Cardioembolic Stroke;CE)の合併は予後に大きく影響する.しかし,ACHD患者のCEに関して,まとまった報告は少ない.【目的】当院のACHD患者におけるCEの現状を調査する.【対象及び方法】対象は1998年1月~2014年12月迄に当院を受診した18歳以上のCHDを有する901名の内,CEの既往を持つ患者.対象を,A群;cyanosis(-)∧短絡(-),B群;cyanosis(-)∧短絡(+),C群;cyanosis(+),の3群に分け,発症時年齢,心房細動(AF)/心房粗動(AFL)及び抗凝固療法の有無,脳梗塞risk factorの有無,機能予後につき診療録を用いて後方視的に検討.【結果】対象は17例(全体の1.9%)(男10例女7例),A群6例(cyanosis(-)∧短絡(-)例の0.8%)(男3例女3例),B群7例(cyanosis(-)∧短絡(+)例の5.1%)(男6例女1例),C群4例(cyanosis(+)例の10.8%)(男1例女3例).CE発症時年齢中央値はA群59(24-70)歳,B群46(27-67)歳,C群25(21-34)歳であり,有意にC群で低かった.AF/AFLを認めた割合はA群5例(83%),B群1例(14%),C群0例(0%)とA群で高い傾向を認めたが,統計学的有意差は認めなかった.AF/AFLを認めたA群の1例ではCE発症前より抗凝固療法中だったが,発症時PT-INR 1.5であった.AF/AFLを認めたA群の3例と一過性脳虚血発作を認めたC群の1例は抗血小板薬を内服していた.CE発症後全例抗凝固療法を開始し,以降再発なし.脳梗塞risk factorとして高血圧,脂質代謝異常,耐糖能異常のいずれかをA群2例(33%),B群2例(29%),C群0例(0%)で認めた.modified ranking scaleによる退院時機能良好例はA群5例(83%),B群7例(100%),C群4例(100%),機能不良例や死亡例は認めなかった.【考察】C群では,脳梗塞risk factorを持たなくとも,若年で効率にCEを発症しており,cyanosisが残るACHD患者では,注意深い診療が必要と考えられた.ACHD患者特有のrisk factorを明らかにする為に,今後更なる検討を要する.