[I-O-31] Fontan循環における運動時中心静脈圧と静脈キャパシタンス
Keywords:静脈キャパシタンス, Fontan, トレッドミル運動負荷試験
【背景】Fontan循環における中心静脈圧(CVP)は,遠隔期における合併症と関係している.しかし,心臓カテーテル検査のCVPは日常生活での実際のCVP変化(動的CVP)をとらえることが出来ていない.一方,Fontan術後患者では,末梢静脈が収縮し,静脈容量(キャパシタンス)が低下していることが報告されている.
【目的】Fontan患者の動的CVPをトレッドミル運動負荷(TM)中の末梢静脈圧から算出し,動的CVPの上昇は静脈キャパシタンス(VC)低下と関連するという仮説を立て,検証した.
【方法】TCPC術後患者21名(Fontan群),コントロール群として二心室(BV)群10名を対象とした.TM負荷時に,心係数(CI),末梢静脈圧から導き出したCVPを持続的にモニターし,比較検討した.VCは、一過性下大静脈(IVC)閉塞で血液容量を増やしたときのIVCの圧変化率に対する径変化率から算出したCIVCと,血液量を平均循環充満圧で除したBV/Pmsfを指標とした.
【結果】Fontan群ではBV群と比較して,最高運動Stage,距離が小さく,CIが低いにも関わらず,CVPは有意に上昇した(各々P<0.05).Fontan群における運動時最大CVPはVC(CIVC)と負の相関を認める傾向にあった.VC(BV/Pmsf)が大きいほど,平均循環充満圧を低く保つことが出来ていた(P<0.05).更にFontan群の運動時最大CVPは肝線維化マーカー(4型コラーゲン7S)と有意な正の相関関係を認めた(P<0.01).
【考察】Fontan循環は二心室循環と比べて,VCの低下により,少ない心負荷でも容易にCVPが上昇した.Fontan循環におけるVCの低下は,安静時CVPが同等であっても動的CVPの上昇を惹起しやすく,長期的には鬱血肝など遠隔期合併症につながることが示唆された.動的CVPを評価すること,静的動的CVPを最小限にとどめる治療の重要性,そのターゲットとしてのCVの重要性が示唆された.
【目的】Fontan患者の動的CVPをトレッドミル運動負荷(TM)中の末梢静脈圧から算出し,動的CVPの上昇は静脈キャパシタンス(VC)低下と関連するという仮説を立て,検証した.
【方法】TCPC術後患者21名(Fontan群),コントロール群として二心室(BV)群10名を対象とした.TM負荷時に,心係数(CI),末梢静脈圧から導き出したCVPを持続的にモニターし,比較検討した.VCは、一過性下大静脈(IVC)閉塞で血液容量を増やしたときのIVCの圧変化率に対する径変化率から算出したCIVCと,血液量を平均循環充満圧で除したBV/Pmsfを指標とした.
【結果】Fontan群ではBV群と比較して,最高運動Stage,距離が小さく,CIが低いにも関わらず,CVPは有意に上昇した(各々P<0.05).Fontan群における運動時最大CVPはVC(CIVC)と負の相関を認める傾向にあった.VC(BV/Pmsf)が大きいほど,平均循環充満圧を低く保つことが出来ていた(P<0.05).更にFontan群の運動時最大CVPは肝線維化マーカー(4型コラーゲン7S)と有意な正の相関関係を認めた(P<0.01).
【考察】Fontan循環は二心室循環と比べて,VCの低下により,少ない心負荷でも容易にCVPが上昇した.Fontan循環におけるVCの低下は,安静時CVPが同等であっても動的CVPの上昇を惹起しやすく,長期的には鬱血肝など遠隔期合併症につながることが示唆された.動的CVPを評価すること,静的動的CVPを最小限にとどめる治療の重要性,そのターゲットとしてのCVの重要性が示唆された.