第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

1-12 自律神経・神経体液因子・心肺機能

一般口演-7
自律神経・神経体液因子・心肺機能

2015年7月16日(木) 16:00 〜 16:50 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
新垣 義夫 (倉敷中央病院)
高橋 徹 (弘前大学)

I-O-31~I-O-35

[I-O-33] 房室錯位心での修復術式と運動能および予後との関連

大内 秀雄1,2, 鍵崎 康治2, 根岸 潤1, 宮崎 文1, 山田 修1, 市川 肇2 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器科, 2.国立循環器病研究センター 成人先天性心疾患, 3.国立循環器病研究センター 胸部外科)

キーワード:房室錯位, ダブルスイッチ, 運動能

【背景】房室錯位心患者(AVD)での体心室としての右室と三尖弁機能不全の懸念からダブルスイッチ手術(DSO)が選択される場合があるが、従来の機能的修復(FR)に対する長期的な臨床的優位性は明確でない。【目的】心肺運動負荷試験(CPX)からAVD術後遠隔期の運動能の規定要因を評価し、DSOとFRの差および予後との関連を検討する。【方法と結果】当院でCPXが施行されたAVD99例(19±12歳、AR42例、FR37例、未修復[NR]20例)を対象とし臨床指標とCPX指標および心事故との関連を検討し(研究1)、3年以上(11±5年)の間隔でCPXが2回施行されたAR30例(初回時、以下同:9±2歳)、FR22例(19±9歳)、NR(14±10歳)10例では心肺機能の推移を検討した(研究2)。研究1では最高酸素摂取量(PVO2:% 表示)はARがFRより高い傾向を示したが(FR:57±16 vs. DSO:67±19%、p=0.067)、NR(85±13%)より低かった(p<0.01)。全例では、手術回数、利尿剤投与、運動時心拍応答(HRR)がPVO2の独立規定要因であった(p<0.05-0.0001)。CPX後平均5.8年の経過観察で10例の死亡を含んだ31回の心事故が発生した。PVO2(HR:0.96、95%CI:0.92-0.99、p=0.035)は男性(p=0.036)と供に心事故の独立規定要因であり、死亡も予測した(HR:0.95、95%CI:0.92-0.99、p<0.01)。研究2では、初回のNR、FRおよびDSOのPVO2は各々90±11、62±16および65±18(p<0.001)で、2回目は各々90±15、59±18および68±17(p<0.0001)でNRが高く推移し、術後2群に差はなかった。PVO2の推移(%/年)は各々0.6±1.9、0±2.3および0.4±2.8で3群に差はなく(p=0.80)、全体でPVO2の変化はHRRの変化と性差で規定された(p<0.05).【結論】ARはFRに比べAVD患者術後の運動能向上とその維持への寄与は明確でない。AVD患者の運動能は、心室形態(術式)ではなく、手術回数、HRR、そして利尿剤投与で規定され、更に、死亡を含めた心事故を予測する。