[I-O-40] 先天性心疾患(CHD)患者の睡眠に関する検討 行動量測定計の有用性
キーワード:CHD, 睡眠, HOT
【背景】近年、睡眠の時間,質と生活習慣病,うつ病が大きく関わると報告されており、疾病病態における睡眠の重要性が注目されているが、CHD患者の睡眠に関する報告はみられない。またCHD患者で在宅酸素療法(HOT)をしている症例は少なくないがHOTが睡眠に及ぼす影響についても知られていない。【目的】CHD患者の睡眠の実態を把握しHOTが睡眠に与える影響を検討する。【方法】説明同意を得たCHD患者28人(うちFontan24人,年齢3.8-17.4歳,平均8.9歳)を対象に、睡眠中、携帯式行動量測定計を装着し、活動カロリー消費量(activity energy expenditure:AEE)を算出した。計測は2週間行い、HOT症例(15例,年齢3.8-14.5歳,平均7.9歳)はHOT使用有り無しを各々1週間ずつ測定した。【結果】平均入眠時刻22:06(20:14-0:33), 起床時刻6:58(6:02-8:24),睡眠時間8.86時間(6.7-10時間)で、年齢増加に伴い有意に入眠時刻が遅くなり睡眠時間が減少した。一方、睡眠時間の標準偏差は年齢によらず一定で、年齢増加とともに睡眠が不規則になることが示唆された。また、12歳以上の平均睡眠時間は7.68時間で厚労省が奨める8時間以上に満たなかった。さらにHOTの有無では睡眠時間に有意差はみられなかったが、睡眠中のAEEは、HOT導入により有意に低下し(AEE/kg 29 v.s.26 cal)、さらにHOTの使用でその変化が大きかった群(20cal以上)はそれ以外の群に比べ自然睡眠時(HOT無し)におけるAEE/kgが有意に高く(52 v.s.18cal, p<0.05)、HOTにより質の良い睡眠が得られ、その効果は酸素飽和度が相対的に低めの状況で眠りが浅いと思われる群においてより顕著である可能性が示唆された。【結論】携帯式高精度行動量測定計は、睡眠状態の把握や各種治療の睡眠への影響の評価に有用な可能性が示唆され、今後さらに睡眠と臨床症状、臨床所見と長期予後との関連について明らかにし、客観的データに基づくCHD患者生活指導指針の確立による予後改善に役立てたい。