[I-O-45] 新生児期先天性心疾患に合併する消化管穿孔をいかに防ぐか
Keywords:新生児循環器, 消化管穿孔, 小児外科
【背景】先天性心疾患で消化管穿孔・腸管壊死を発症し、重篤な経過を辿り治療に難渋する症例がある。【目的】新生児期・乳児期早期に緊急開腹手術・人工肛門造設を行った症例から原因・予防策を検討すること。【症例1】在胎38週5日2665gで出生、両大血管右室起始・中間位鎖肛・口唇口蓋裂と診断。日齢とともに肺血流増多による心不全を来した。日齢1に横行結腸に人工肛門造設、日齢11に回盲部にピンホール状の穿孔あり同部位に腸瘻造設。【症例2】在胎41週4日2874gで出生、両大血管右室起始・肺動脈弁狭窄と診断。プロスタグランジン(PGE1)投与開始後SpO2高値で減量。日齢7に直腸前壁に穿孔部位を同定、回腸瘻造設。【症例3】在胎38週3日2295gで出生、ファロー四徴症・鎖肛と診断。PGE1投与するも低酸素が進行し頻回の輸血・血液製剤投与を要した。日齢7に盲腸から上行結腸にかけて長軸方向に2cmの穿孔あり回腸瘻造設。【症例4】在胎37週4日2410gで出生、純型肺動脈閉鎖の診断。PGE1投与開始したが肺血流増多による心不全から日齢9にショックとなりPGE1中止し窒素吸入による低酸素療法実施。日齢11に上行結腸近位部に長軸方向に2cmの穿孔あり回腸瘻造設。【症例5】在胎38週0日3196gで出生、右室型単心室と診断。卵円孔狭小のため日齢15にバルーン心房中隔切開術(BAS)施行、心不全増悪し窒素吸入による低酸素療法を実施。日齢16に腸回転異常・上行結腸に1cmの穿孔あり結腸瘻造設。【症例6】在胎35週3日2640gで出生、純型肺動脈閉鎖の診断。PGE1投与開始したが肺血流増多のため日齢5に中止、卵円孔狭小化の判断で日齢5・35にBAS施行。日齢36に穿孔部位はないがS状~下行結腸の一部に虚血がみられ、切除し結腸瘻造設。【考察】消化管穿孔の危険因子として、腸回転異常・鎖肛といった器質的疾患に加え、心不全に伴う腸管虚血も挙げられ、経口・経管栄養に拘らず絶食で管理を行うことも必要である。