[I-O-49] 当科Asplenia患者に対する肺炎球菌ワクチンスケジュール表の作成—侵襲性肺炎球菌感染症の経験から—
Keywords:肺炎球菌ワクチン, 侵襲性肺炎球菌感染症, asplenia
【背景】Asplenia(AP)患者が侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を発症する頻度は一般健康人に比べ著明に高い。我が国におけるAP全国調査では350例中58例、69回の重症感染を認め、11例(19%)が突然死に至っている。死亡時年齢の中央値は11か月(2か月-4歳)でその頻度は1万患者・年当たり38と高頻度であった。今回Fontan手術待機中に肺炎球菌22F型に罹患しIPDを発症したAPの一例(2歳5か月)を経験した。突然の意識消失からショック状態に至り6日目にくも膜下出血、脳死状態となり永眠した。患児は7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)スケジュールを完了していた。【目的】AP患者に対する肺炎球菌ワクチン投与スケジュールを作成し、IPDを未然に防ぐ事。【方法】Centers for Disease Control and Preventionの勧告を参照した。AP患者は出生時期の違いや長期入院に伴う接種漏れにより、接種内容、接種率は様々である。AP患者のワクチン接種内容に応じて、各年齢毎に必要な肺炎球菌ワクチン種名、接種時期、接種回数を明らかにした。【結果】 2歳未満:1. 定期予防接種の勧告どおりのPCV13初回、追加接種、2. 2歳で23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)(最後のPCVから8週以後)、3. PPSV23再接種(前回から5年後)。2歳から5歳:1. PCV13 2回接種(2歳未満でPCV7/13を3回接種した者は1回、PCV7を4回接種した者は1回)、2. PPSV23(最後のPCVから8週以後)、3. PPSV23再接種(前回から5年後)。6歳から18歳:1. PCV13 1回、2. PPSV23(最後のPCVから8週以後)、3. PPSV23再接種(前回から5年後)。【考察】すべてのIPDはカバーできないが、ワクチン接種は現時点で最善の予防策である。IPDを未然に防ぐには、さらに発熱時の対応マニュアル作成や患者教育の充実が求められる。【結論】当科AP患者における肺炎球菌ワクチン投与スケジュール表を作成したので報告した。