[I-O-50] 新生児重症Ebstein奇形5例に対する検討
Keywords:Ebstein, エプスタイン奇形, 新生児
【背景】新生児期早期に高度三尖弁逆流と肺血流減少に伴う循環不全を呈し外科的介入を要する重症Ebstein奇形の予後は不良である。【目的】当院における新生児重症Ebstein奇形症例について後方視的に検討する。【結果】症例5例(男女比3:2)の診断契機は胎児診断3例、心雑音、チアノーゼ各1例であった。出生時胸部Xpの心胸比中央値は70%(54-91%)であり、carpentier分類はB型が1例とC型が4例、celermajer indexは2が1例、3が2例、4が2例であった。心合併症は肺動脈閉鎖2例、左室心筋緻密化障害1例、僧帽弁閉鎖不全1例、部分肺静脈還流異常1例があり、心疾患以外の合併症として気胸1例を認めた。術前は全例でPGE-1製剤を使用しており、人工吸器管理を要した症例は4例、カテコラミン使用例はなかった。手術適応の判断はcircular shuntによる循環不全進行が2例、人工呼吸器離脱困難が2例、その他が1例であった。初回手術は生後2-13日に、<1>Starnes手術3例、<2>BT shunt+PDA ligation+心房縫縮1例、<3>BT shunt+PDA ligation+心房中隔作成術1例が選択された。1期的な三尖弁形成術を施行可能な症例はなかった。早期死亡は2例で、肺動脈弁閉鎖不全による循環不良に脳室内出血を併発した症例と僧帽弁閉鎖不全に伴う心拍出量低下に気管・胸腔内出血を併発した症例であった。生存例は<1>の2例と<3>の1例で、現在2例はBDG及びTCPC待機中であるが、1例は術後の縦隔炎に伴う敗血症から循環不全を呈し重度肝障害、腸閉塞を合併し全身管理を継続中である。【考察】手術介入を要する新生児エブスタイン奇形の早期死亡率は25%と報告されており、現在も最適な術式に対する結論は出ていない。当院で経験した症例の予後も非常に不良であり、症例の集積と至適術式の選択、予後因子等の検討が必要である。