第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-03 胎児心臓病学

一般口演-11
胎児心臓病

Thu. Jul 16, 2015 3:50 PM - 4:40 PM 第7会場 (1F シリウス A)

座長:
渋谷 和彦 (東京都立小児総合医療センター)
松井 彦郎 (長野県立こども病院)

I-O-51~I-O-55

[I-O-51] 「胎児頻脈性不整脈に対する胎児治療」の前方視的多施設研究施行における実際と今後の課題

前野 泰樹1, 三好 剛一2, 池田 智明3, 左合 治彦4 (1.久留米大学医学部 小児科, 2.国立循環器病研究センター 周産期婦人科, 3.三重大学 産婦人科, 4.国立成育医療研究センター 胎児診療科)

Keywords:臨床試験, 胎児治療, 胎児頻脈性不整脈

「胎児頻脈性不整脈に対する胎児治療」は、1980年代から臨床的な有用性を示す多くの論文が報告され、国際的にも広く認知されている。しかし一方では前方視的な臨床試験で有効性が確認された報告がなく、各施設の経験的な治療が行われ、また、保険適応外の治療としての状況が続いていた。そこで今回、厚生労働省科学研究の研究班が主導と成って、「胎児頻脈性不整脈に対する胎児治療」の世界初の前方視的多施設研究として、平成23年より臨床試験が開始された。 この臨床試験では、準備段階、施行中にかけて多くの課題が発生し、その対応が必要であった。また、今後研究終了後の対応についても、解決すべき課題がある。そこで今回経験した、本邦で臨床試験を進めるときに課題と解決への重要事項などを紹介する。【課題】1。準備段階では、研究に参加するグループ形成の計画、結果を得るための実現可能な臨床研究計画の作成、過去のデータの確認、資金の確保、参加者の合意を得られる統一プロトコールの決定、参加施設の病院間の臨床試験に対する準備状況の差への対応などが必要であった。2。施行中では、プロトコール修正、有害事象への対応や安全性の確保、データ収集時の施設間差の統一、症例数確保の工夫などに対応を要した。3。研究終了後に向けては、研究参加症例の今後の神経学的フォローアップ体制の整備、研究発表時に保険収載申請など方向性の決定、研究終了後の新規症例への対応など、今後解決すべき課題も多い。【考察】 臨床研究を施行するにあたっては、対象であるその医療的技術自体の重要性は言うまでもないが、医療技術以外の臨床試験計画と実行への種々の課題への対応が成功に向けて大きなウェートを占めると感じられた。その対応の為には、(1)臨床研究に精通した人材の確保、(2)資金の確保、そして何より(3)煩雑な事務的手続きなどに対応できる医師の確保が、特に重要と感じられた。