[I-O-52] 胎児診断された多脾症候群の臨床像
Keywords:胎児診断, 多脾臓症候群, 予後
胎児診断された多脾症候群の臨床像を検討すること【対象と方法】1995.1~2014.12までに神奈川県立こども医療センターにて胎児診断された多脾症候群67例中、TOP/IUFDを除いた58例を対象とした。紹介週数は平均26.4週。紹介理由(重複あり)は心形態異常41例、不整脈17例、心外奇形4例であった。【結果】1、心形態:a)内臓位:正位21例(38%)、錯位29例(49%)、逆位7例(14%)。b)心疾患:心形態異常あり49例(86%)、単心室循環24例(41%)、二心室循環16例(28%)、左室流出路狭窄15例,右室流出路狭窄15例、両半月弁狭窄3例。2、合併疾患:a)不整脈:22例(SSS 12例,cAVB 2例,SSS+cAVB 6例,bradycardia 2例)、b)心外奇形10例(重複あり):十二指腸閉鎖4例、胆道閉鎖2例、腸回転異常10例。3、外科治療: Fontan施行月齢19.7±10.5ヶ月(10~57カ月)、4、予後:a)生命予後:生存率83%、生存期間(中央値)50ヶ月。b)死亡例:胆道閉鎖2例、感染3例、心不全2例、不明1例、c)各病態と生存率:単心室循環91%、二心室循環94%、左室流出路狭窄89.4%、右室流出路92%、不整脈(PMI)78.5%、心外奇形80%。【考案】多脾症候群の胎児診断の特徴として、不整脈(29%)及び心外奇形(7%)で紹介される症例が無脾症候群に比べ多いことがあげられる。さらに内臓位が錯位以外の症例が約半数をしめていることも特徴である。生命予後を規定する心形態異常に関する因子は明らかなものはなかったが、両半月弁に異常を認める症例は全例死亡した。死亡例のうち25%を胆道閉鎖症例が占めており、多脾症候群では心疾患以外の管理も重要であることが改めて示唆された。