第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-10 心筋心膜疾患

一般口演-12
心筋症

Thu. Jul 16, 2015 10:00 AM - 10:50 AM 第8会場 (1F シリウス B)

座長:
小林 富男 (群馬県立小児医療センター)
加藤 太一 (名古屋大学医学部附属病院)

I-O-56~I-O-60

[I-O-56] 小児期発症心筋症の予後

森 浩輝, 清水 美妃子, 中西 敏雄 (東京女子医科大学 循環器小児科)

Keywords:心筋症, 予後, 心不全

【背景・目的】我が国における小児期発症の心筋症の予後に関して近年まとまった報告は少ない。当院における小児期心筋症患者の予後を検討する。【方法】1990~2014年に当院に受診歴のある18歳未満の心筋症患者を対象として後方視的に検討した。対象疾患は拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCM)、拘束型心筋症(RCM)、左室緻密化障害(LVNC)、不整脈原性右室心筋症(ARVC)とした。診断の契機、予後を検討した。【結果】対象症例数は85例(男51例、女34例:初診時平均年齢7.6±5.7歳)で、診断の内訳はDCM 31名(37%)、HCM 43名(51%)、RCM 7名(8%)、LVNC 2名(2%)、ARVC 2名(2%)であった。平均観察期間は9.1±7.6年であった。家族歴は32%にみとめられた。診断の契機は心雑音27%、(無症状での)心電図異常38%、不整脈・失神3%、心不全27%であった(重複含む)。 観察期間中における死亡は9例(11%)で、発症から死亡までの平均期間は6.2年であった。心移植は5例あり、基礎疾患はDCM 3例(うち1例は心筋炎後DCM)、RCMが2例であった。 死亡ないし心移植をエンドポイントとすると10年生存率(Kaplan-Meier)は心筋症全体では89%であった。疾患ごとの10年生存率はDCMでは72%、HCMでは92%であった。症例数は少ないもののRCM、ARVCは急激な心不全悪化や突然死をきたしている症例もあった。【結論】 乳児・学校検診や日常診療での異常の発見が診断の契機となっている症例が多く、早期発見に重要な役割を担っている。 近年の当院における小児心筋症患者は比較的良好な経過を辿っているが、死亡例、心移植を要する症例も少なからず存在し慎重な観察を要する。