[I-O-60] 若年発症の不整脈原性右室心筋症における遺伝子変異の検討
Keywords:不整脈原性右室心筋症, 心筋症, 遺伝子異常
【背景】不整脈原性右室心筋症(ARVC/D)は主として30-40歳で発症する遺伝的心筋症として知られている。稀に若年での発症が報告されているが、若年発症に関わる遺伝的素因は明らかになっていない。【方法】当施設に遺伝子検索の依頼のあったARVC/D患者で発症時30歳未満の患者について検討を行った。ARVC/Dに関連するとされている以下の遺伝子に関して変異の有無を検討した:Plakophilin 2(PKP2), Desmoplakin (DSP), Desmoglein 2(DSG2), Desmocolin 2(DSC2), Transmembran 43(TMEM43)。【結果】該当患者は4名でうち2名は兄弟であった。症例1: 51歳男性、21歳時に動悸、失神で発症。心室性頻拍に対してカテーテルアブレーションを施行された。症例2:48歳男性(症例1の同胞)26歳時に動悸・ふらつきで発症し、28歳時に失神。家族歴よりARVC/Dが疑われ診断に至った。心室性頻拍に対してカテーテルアブレーションを施行された。症例3:14歳男児、13歳時に運動時の失神で発症。発症約1年後に突然死した。症例4:12歳男児、9歳時に学校心臓検診で心電図異常を指摘され診断。心室頻拍に加え、重度の左心不全症状もみとめ、発症後約1年半で心臓移植に至った。 全ての症例でDSG2に同一の変異(Asp494Ala)をみとめた。症例1、2、3ではホモ接合であり、症例4ではヘテロ接合であった。また、症例4ではTMEM43にも変異をみとめた。【結論】DSG2(Asp494Ala)はARVC/Dの早期発症に寄与している可能性が高い。今後変異タンパクの機能解析を行う必要がある。ARVC/Dの家族歴を有する患者では積極的に遺伝子検索を行い、リスク管理を行う必要がある。