第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

1-17 心血管発生・基礎研究

一般口演-13
心血管発生・基礎研究

Thu. Jul 16, 2015 11:00 AM - 11:50 AM 第8会場 (1F シリウス B)

座長:
山岸 敬幸 (慶應義塾大学)
横山 詩子 (横浜市立大学)

I-O-61~I-O-65

[I-O-65] 小児外科での貢献をめざす生体内組織形成術

中山 泰秀 (国立循環器病研究センター研究所 医工学材料研究室)

Keywords:再生医療, 生体内組織工学, 循環器組織体

【背景】
「生体内組織形成術」によると、プラスチック製の「型」を1、2ヵ月間皮下に埋入するだけで、動脈圧にも耐え得る自己組織のみからなる移植用組織体が作製できる。これは移植後数ヵ月で目的とする循環器系組織に自己再生するため、その後の成長性が期待され小児外科での貢献をめざしている。これまでの単純形状の「型」での体内任せであった本技術が、近年形状などの工夫によって形成厚さや形成速度などが制御可能となりつつある。本研究では、本技術の開発対象としている血管と心臓弁について、確実に壁組織を丈夫にできる「型」の開発を行った。
【方法と結果】
従来の血管組織体(バイオチューブ)や弁葉組織体(バイオバルブ)の作製のために、それらの形状に合わせた3次元の型を開発し、移植実験でそれらの機能を実証してきた。しかし、一般に形成される組織体の厚さは0.1mm程度と薄いため取扱いが煩雑であった。そこで、従来の型の周囲に柵を取り付けた新しい型を設計した。型と柵の間の隙間をコントロールすることで入り込む組織量を調整でき、形成される組織体の壁厚を制御することが可能であった。従来周囲圧などによって完全ではなかった2mm径の小口径バイオチューブの開存性を、また低組織反応性によって確実ではなかった10mm径以下の小型バイオバルブの完成度を共に100%とすることができた。バイオバルブはイヌのペット治療において肺動脈弁置換術に用いられ良好な成績を得ている。
【結論】
柵付き型の開発によって、確実な体内形成と容易な移植操作性、安定した移植成績を得ることが可能となった。これまでの体内任せから体内操作が可能なまでに生体内組織形成術の技術向上が果たせた。今後小児外科医からの積極的な臨床協力を期待したい。