[I-P-003] 胎児心エコー検査で発見された左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓、左動脈管による血管輪の2例
Keywords:胎児心エコー, 血管輪, 左鎖骨下動脈
【はじめに】胎児心エコー検査の普及に伴い、心内奇形ばかりではなく、血管輪などの大血管異常も胎児期に診断されるようになってきた。今回、我々はSTIC法による胎児心エコースクリーニング検査で右側大動脈弓が判明し、左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓、左動脈管による血管輪の2例を経験したので報告する。【症例1】レベルIIの胎児心エコー検査にて、心内奇形を伴わない左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓、左動脈管と診断。出生後、明らかな気管狭窄の症状はなかったが、造影CT検査では左鎖骨下動脈起始部の狭窄を認め、左右上肢で10mmHg程度の血圧差を認めた。【症例2】レベルIIの胎児心エコー検査にて、心室中隔欠損、左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓、左動脈管と診断。出生後、次第に心不全症状が進行し利尿剤内服を開始。生後5ヶ月時に心内修復術を施行した。術前検査では左鎖骨下動脈の狭窄はなかったが、術中評価のために経食道心エコープローブを挿入したところ、左手に留置していた動脈圧ラインの圧波形が消失した。【結果】2例とも出生後に呼吸障害や嚥下障害は認めなかったが、心内奇形を伴わなかった1例に左鎖骨下動脈狭窄を認めた。心室中隔欠損を合併した例では、食道内からの物理的な左鎖骨下動脈への圧迫が疑われた。【考察】左鎖骨下動脈起始異常を伴う右側大動脈弓、左動脈管による血管輪においては、呼吸障害・嚥下障害が認めなくとも、左鎖骨下動脈の狭窄・血流障害などに注意を要する。