[I-P-006] αグルコシダーゼ酵素活性が正常を示した乳児型ポンぺ病の一例
キーワード:ポンぺ病, SRL, αグルコシダーゼ
【背景】ポンペ病は、酸性αグルコシダーゼ(GAA)が先天的に欠損しているため、ライソゾームにグリコーゲンが蓄積し、骨格筋、心筋障害を呈する常染色体劣性遺伝の先天代謝異常症である。本病の確定診断は、GAA酵素活性測定、遺伝子検査、筋生検などによる。【症例】10か月女児。7か月より気管支炎を繰り返す。9か月に肝酵素・CKの軽度上昇を指摘され、9-10か月健診で筋トーヌスの低下を指摘された。10か月に感冒症状で受診時に心肥大、不整脈を指摘された。入院時の血液検査でCK 202U/L、BNP 398pg/mLと上昇を認めた。心エコーで輝度上昇を伴う左室壁肥厚、LVEF 55%と心機能の低下を認めた。心電図では心房性期外収縮、左室肥大所見を認めた。経過からポンぺ病を疑い、検査センターSRLでαグルコシダーゼ酵素活性測定を施行したところ、13.1 nmol/mg protein/hr(正常参考値13.1-46.3)と正常下限であり確定診断には至らなかったため、改めて国立成育医療研究センターで精査を依頼したところ、GAA酵素活性測定低下と遺伝子異常を認め、ポンぺ病と診断した。酵素補充療法を開始したところ、3か月でBNP 1084→109pg/mL、エコーではLVd mass index 284→126g/m²、E/e’ 21.7→9.6と改善を認めた。発達面でも改善を認め、気道感染の頻度は減少した。【考察】本症例ではαグルコシダーゼ酵素活性は低下を認めなかったが、GAA酵素活性は低下を認めた。SRLのαグルコシダーゼ酵素活性測定ではGAA以外のアイソザイムも一緒に測定するため、ポンぺ病の鑑別には不十分な場合がある。【結語】αグルコシダーゼ酵素活性のみでポンぺ病を除外している症例については、改めてGAA酵素活性測定による鑑別が必要である。