[I-P-011] 当院での一側肺動脈閉鎖合併総動脈幹症の経験
Keywords:総動脈幹症, 肺動脈閉鎖, Rastelli手術
【背景・目的】一側肺動脈閉鎖を伴う総動脈幹症は稀な疾患で、1981年から2014年までに当院で手術を行った総動脈幹症54例中4例に一側肺動脈閉鎖を合併した。各々異なる臨床経過を辿ったので報告する。【症例1】女児。1歳時近医で心臓カテーテル検査(カテ)を施行し総動脈幹症、左肺動脈閉鎖と診断。3歳9ヶ月時当院を紹介受診した。3歳11か月時術前カテで肺動脈圧/体動脈圧比(Pp/Ps)=0.938と肺高血圧(PH)を認めたが、酸素負荷で肺血管抵抗が低下した。4歳2か月時左肺動脈の再建はせず、Rastelli手術(R術)を施行。術後PHが持続し4歳4か月時死亡した。【症例2】28歳男性。10か月時カテで総動脈幹症、左肺動脈閉鎖と診断。PH(Pp/Ps =0.82)を認めた。10か月時左肺動脈は再建せずR術を施行。術後PHが持続したが、徐々に改善した。【症例3】12歳男児。9生日にカテを施行し総動脈幹症、左肺動脈閉鎖と診断。またPHを認めた(Pp/Ps =0.98)。24生日に右肺動脈絞扼術を施行。1歳時左肺動脈は再建せず、R術を行った。その後右室流出路狭窄が進行し再度R術を施行。【症例4】4か月女児。生後1か月時近医で肺動脈閉鎖、心室中隔欠損、主要体肺動脈側副血管(MAPCA)と診断。チアノーゼが進行し、2か月時当院で心カテを施行したが、右肺動脈への順行性血流、MAPCAはなく逆行性肺動脈造影により右肺動脈閉鎖と診断した。またその際左肺動脈狭窄をみとめた。生後3か月時にR術および肺動脈形成術を行い右肺動脈の再灌流を得た。術後急性期は右肺のうっ血および右肺動脈への逆行性血流がみられたが、徐々に改善した。【考察】症例1-3では、閉鎖した肺動脈の残存確認が不十分で再建することができず、1例は術後肺高血圧の残存により失った。一側肺動脈閉鎖症例では、できるだけ早期に肺動脈の有無を確認し、再建に向けた努力をする事で遠隔期予後の改善を期待することができると考える。