[I-P-017] 小児心臓カテーテル検査における負荷試験時の非侵襲的心拍量モニターによる循環動態変化モニタリング
キーワード:心臓カテーテル検査, 酸素負荷試験, 非侵襲的心拍出量モニタ
【背景】小児心臓カテーテル検査における心拍出量等の循環動態を評価する方法としてFick法やエコー法があるが、測定は容易ではなく、簡便に計測し評価できる方法がリスク回避の上でも好ましい。近年非侵襲的心拍量モニター(エスクロンミニ)による測定が可能となり、小児においても容易に循環動態を連続測定できるようになった。【目的】小児心臓カテーテル検査における酸素負荷試験において心拍出量モニターを使用し、負荷試験に伴う循環動態の変化を捉えることが出来るか検討を行った。【方法】2013年10月より2014年9月における心臓カテーテル検査モニタリング症例の内、酸素負荷試験を行った7例を対象として行った。酸素負荷試験のpre、5分、10分におけるAo圧、PA圧、心係数(CI)、一回拍出量係数(SI)、一回拍出量変動(SVV)、Qp/Qsの変化を分析した。【結果】酸素負荷試験によるpre、5分、10分でのAo(s)圧はそれぞれ86.7±17.0mmHg、89.4±19.4 mmHg、89.5±19.8 mmHgと上昇傾向がみられ、PA(m)圧は32.5±14.0 mmHg、31.1±14.3 mmHg、30.5±14.6 mmHgと下降傾向がみられた。また、CIは42.4±13.6、41.0±13.3、41.0±13.4、SIは4.9±1.6、4.7±1.5、4.7±1.5であった。CIとSI共にpre、5分間で有意差を持って減少したが、5分、10分間では有意差は認めなかった。SVVは9.4±4.0、10.1±4.3、10.4±3.8となり上昇傾向ではあるが、有意差は認めなかった。Qp/Qsは負荷前後で1.1±0.6、2.0±1.2となり有意差を認めた。【考察】酸素負荷試験によって肺血管抵抗が下がり、肺血流が増加したことで、体血流が減少しQp/Qs が上昇した。Qp/Qs は酸素飽和度により規定されるものであるが、エスクロンミニによるCI、SIの計測によってもQp/Qsと同様の変化を捉えることができたと考える。【結論】エスクロンミニは負荷試験に伴う循環動態の変化を捉えることが可能で、連続的な循環動態評価の1つとして有用であると考えられる。