第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-06 心臓血管機能

ポスター
心臓血管機能①

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:56 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:杉本 昌也 (旭川医科大学)

I-P-017~I-P-022

[I-P-019] ファロー四徴症術後患者における左室内圧較差の検討

小林 真紀1, 高橋 健1, 山田 真梨子1, 松井 こと子1, 秋元 かつみ1, 稀代 雅彦1, 川崎 志保里2, 板谷 慶一3, 宮地 鑑3, 清水 俊明1 (1.順天堂大学医学部 小児科, 2.順天堂大学医学部 心臓血管外科, 3.北里大学 血流解析学講座)

Keywords:ファロー四徴症, 左室内圧較差, 拡張機能

【背景】心内修復術後のファロー四徴症(TOF)は、左室機能の低下が生命予後に影響するが、その詳細な発生機序は不明である。左室拡張能の重要な指標である左室内圧較差(Intraventriclar pressure diffeerence:IVPD)は、血液流入を駆動するinertial IVPD (I-IVPD)および減弱させるconvective IVPD (C-IVPD)で構成されるが、TOF術後患者におけるこれらIVPD評価の報告は存在しない。【目的】TOF術後患者におけるIVPDを解析し、TOFの左室拡張能の特徴を明らかにすること。【方法】対象は4歳から33 歳の心内修復術後TOF患者18例と正常対照群50例。心尖部四腔断面像のカラーMモード画像からオイラーの方程式を用い、左室の全IVPD及び心尖部から僧帽弁までを3分割した心基部、中間部および心尖部のIVPDを、またC-IVPDとI-IVPDのピーク値を測定した。またスペックルトラッキング法により、左室の変形を評価した。【結果】全 IVPDはTOF群(3.32 + 0.86mmHg)と正常群(3.02 + 0.59mmHg)で有意差は認めなかった。心基部IVPD/全IVPD比はTOF群で有意に高かった(p < 0.001)。中間部IVPD/全IVPD比、心尖部IVPD/全IVPD比はTOF群で有意に低下し (p < 0.001) 、それぞれTorsionと相関した(p = 0.002およびP = 0.012)。心基部で最大となるC-IVPDはTOF群で有意に大きく (p < 0.001)、Torsionと逆相関した(p < 0.001)。全I-IVPDは2群間で有意差を認めなかった。【考察】TOF群ではTorsionの低下が関連したC-IVPDの増加および中間部、心尖部IVPDの低下により、左室への効率的な拡張早期の血液流入が障害されている。これらはTOFにおける拡張機能低下のメカニズムの新しい知見である。