[I-P-020] MRIによる上行大動脈断面積変化を用いた中心大動脈収縮期圧推計法の検討
キーワード:中心大動脈収縮期圧, MRI, tonometry
【背景】中心大動脈収縮期圧(Central arterial systolic pressure : CASP)は、末梢動脈収縮期圧よりも心血管リスクをより正確に反映する事が知られている。血管断面積の経時変化は血圧波形に類似することを利用すればMRIで得られる上記情報からCASPや血圧波形の推定が得られる可能性がある。【目的】MRIにて撮影された上行大動脈の断面積の経時変化から推定したCASPが、頸動脈Tonometry法から推計されるCASPを正確に反映するかを検討する。【対象】当院において先天性心疾患を持ち、2013年7月から2014年12月までに心臓MRIを受けた2歳~40歳の35人が対象。【方法】MRIのphase-contrast法を用いて、上行大動脈(AAo)の断面を1心拍19~25フェーズに分けて撮影した。上行大動脈の各フェーズの断面をトレースしAAoの断面積変化を波形化した。MRI検査とほぼ同時に行われた頸動脈のApplanation tonometry法(SphygmoCor, AtCor Medical社)による推計大動脈圧波形と非観血的実測拡張期圧・平均圧から算出された中心大動脈圧(T-CASP)をGold Standardとした。上行大動脈断面積変化波形からの推計CASPは、linear式(L式)とexponential式(E式)を用いた。【結果】L式による推定CASPとのT-CASPは良好な相関を得た(R2=0.79, p<0.01)。E式による推定CASPにおいても、良好な相関を得た(R2=0.91, p<0.01)。Bland-Altman解析では、血圧値の高低による推定CASPへの影響は認められなかった。【結論】MRI検査にて上行大動脈断面積変化と末梢血圧測定により、中心動脈圧並びに大動脈壁の評価が簡便に行える可能性があることが示唆された。