[I-P-026] カテーテル操作技術の向上を目的とした、微細な回転操作が可能な静脈専用シースの開発
キーワード:カテーテル操作, シース止血弁, 改良
[目的]近年心臓カテーテル検査に用いるシースはカテーテル挿入部の血液逆流を防止する止血弁機能が強化されている。トルク伝達性の良いカテーテルを用いる動脈側では問題ないが、柔らかい診断用や造影用のバルーンカテーテルを用いる静脈側では、回転操作時のトルク伝達が止血弁で抑えられ、強い回転トルクが必要となり微細なカテーテル操作が困難となっている。若い医師が強い回転操作を行いすぎ、カテーテル内腔がよれて潰れてしまうこともある。このために静脈用に止血機能が落ちても、回転トルク伝達の良いシース開発を試みた。[方法]シースメーカーに現状を説明し、静脈留置時は低圧のために強い止血機能は必要ないことを説明。止血弁の素材や構造に改善を加えた試作品を制作してもらいカテーテル検査で使用した。またメーカーにてカテーテルの回転や押し引きに必要な力の測定も行われた。[結果]止血弁を改良したシースでは、従来より回転操作が容易で微細な回転操作が可能であった。トルクの測定では、計測方法に対して実際のトルクが微細すぎるためか、有意の結果は出なかった。しかし、シースにダイレーターを挿入する時の滑り抵抗は従来品の約半分に低下していた。[考案および結語]最近のシースは止血弁機能向上のために、微細な回転トルク伝達が困難で静脈側カテーテル時に過大な回転トルクが必要とされ、カテーテルが回転すると一回転して元の位置に戻ってしまうことが多い。当然、若手医師がカテーテルの微細な操作を習得することは困難である。試作品静脈専用シースは、今までより弱いトルクでカテーテルはスムースに回転し、止血弁機能にも問題は認めなかった。右心カテーテルの多い先天性心疾患を多数扱う施設では、従来のシースを動脈用とし、今回改良した止血弁の柔らかいシースを静脈用として使い分けることによりカテーテル手技の向上につながると考えられた。