[I-P-028] 大動脈縮窄症術後再狭窄へのバルーン血管形成術により大動脈解離をきたしたが、self expanding stent留置によるbailoutに成功した一小児例
キーワード:バルーン血管形成術, 大動脈解離, ステント
【背景】大動脈縮窄症(CoA)の術後再狭窄に対し、バルーン血管形成術(BAP)は安全かつ有効とされる。今回、CoA術後遠隔期の再狭窄に対するBAPにより大動脈解離を合併したが、self expanding stent留置により緊急開胸手術を回避した症例を経験した。【目的】CoA術後再狭窄に対するカテーテル治療と合併症について検討する。【症例】13歳女児。2歳時にCoAに対し大動脈修復術施行。術後11年が経過し、自覚症状はないが下肢脈拍がやや弱く、エコーでCoA修復部圧較差30~40mmHgの再狭窄のためBAP目的に入院。カテーテル検査では圧較差40mmHgであった。血管内エコー(IVUS)で最狭部径10mmに対し、Sterling10mm×40mmでBAPとしたが効果なく、Mustang12mm×40mmで拡張したところ圧較差14mmHgへ改善した。軽度の大動脈解離を認めるのみであり、降圧剤等で保存的治療とした。翌日のCTでは上行大動脈への解離伸展や大動脈瘤は認めなかったが、偽腔形成を認めた。術後2日、腰痛と乏尿を認め、エコー上圧較差110mmHgとなり緊急カテーテル検査施行し、圧較差40mmHg、大動脈解離による真腔狭窄と診断した。self expanding stent(Bard E-Luminexx Vascular Stent; 12×60mm)を留置し、圧較差17mmHgとなり解離・狭窄は改善された。術後CTでstent留置部位や解離改善を確認し、クロピドグレルおよびアスピリン内服の下、退院となった。【結語】Self expanding stentは大動脈解離からのbailoutにも有効である。 今回、CoA術後再狭窄へのBAPでも、稀に、本症例のように緊急治療を要する大動脈解離を合併することがあり、bailoutのためのstentは常に準備する必要がある。