[I-P-029] 肝外門脈閉塞症に対するシャント手術時のバルーン拡張術の経験
キーワード:肝外門脈閉塞症, 門脈圧亢進症, バルーン血管拡張術
【はじめに】肝外門脈閉塞症に対する治療に際し、開腹手術下にバルーン血管拡張術を行った症例を経験したので報告する。【症例1】10歳男児。新生児マススクリーニング検査で高ガラクトース血症を指摘され門脈大循環シャント(PSS)と診断された。生後1か月でPSSは自然閉鎖したが脾腫が出現し、精査で肝門部門脈閉塞、門脈圧亢進症と診断された。3歳より食道静脈瘤を認め、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行された。10歳時、臍静脈シャント目的に当院紹介受診した。臍静脈-臍部門脈に対して8mm×20mmPTAバルーンカテーテルを用いて拡張を行ったところ血流が増加し、門脈圧が24mmHgから19mmHgへ低下した。【症例2】11歳女児。6歳時より消化管出血、貧血があり、7歳児に吐血、ショックとなり胃静脈瘤破裂と診断された。EVL、内視鏡的硬化療法(EIS)で止血された。精査で肝外門脈閉塞症と診断され、11歳時に臍静脈シャント手術目的に当院紹介受診した。開腹手術下に臍静脈~門脈臍部を6mm Sterling PTAバルーンカテーテルを用いて拡張した。【症例3】2歳男児。4ヶ月健診で心雑音を指摘され心房中隔欠損症、肺動脈狭窄と診断された。1歳3ヶ月で脾腫、汎血球減少を指摘され精査で肝外門脈閉塞症と診断された。2歳時に食道静脈瘤に対してEVL施行された。その後当院紹介され臍静脈シャント手術を施行した。手術に際し、臍静脈~門脈臍部を6mm Sterling PTAバルーンカテーテルを用いて拡張した。【結語】いずれの症例においても有効なバルーン拡張を行うことができた。全症例の経過は良好で、門脈圧亢進症状なく経過している。肝外門脈閉塞症の臍静脈シャントにおいてバルーン血管拡張術の併用は有効であった。